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【社会】

アキシマクジラ新種認定 東京・昭島市で化石発見から半世紀 学名に

アキシマクジラのイメージ図=昭島市教育委員会提供

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 五十七年前に東京都昭島市でほぼ全身の骨格が見つかった古代クジラの化石「アキシマクジラ」について、群馬県立自然史博物館などのグループが今月、新種と認定する論文を学会誌に発表した。学名は「エスクリクティウス・アキシマエンシス」。「アキシマ」の名前が世界に知られることになり、「クジラの街」としてPRしてきた市は、新種認定を祝う記念イベントを計画している。 (榊原智康)

 昭島市によると、化石は一九六一年、市内の小学校教員だった田島政人さん=故人=が多摩川河川敷で、約二百万年前の地層から見つけた。当時、周辺は海。東アジア沿岸と北米大陸西岸に生息する現代のコククジラに近い種と推定されたが、新種かどうかは確認されていなかった。

 長く国立科学博物館の新宿分館に収蔵されていたが、二〇一二年に群馬県立自然史博物館に移され、木村敏之学芸員(47)らが本格的な調査、研究を開始。米国のスミソニアン博物館に収蔵されている現代のコククジラの骨格標本と比較するなどしたところ、アキシマクジラはコククジラの仲間だが、鼻骨の形や上あごの骨の付き方などが異なり、現代のコククジラとは異なる新種と結論づけた。何らかの理由で絶滅したことになる。

 これらの研究成果は、今月一日発行の日本古生物学会の英文誌で発表。「アキシマクジラ」の名前はこれまで通称で使われていたが、論文で学名も昭島市にちなみ「エスクリクティウス・アキシマエンシス」と命名した。木村さんは「骨の形は今のコククジラより原始的な特徴があり、進化を考える上で貴重な資料」と話す。

アキシマクジラの背骨を手にする木村敏之学芸員=群馬県富岡市の県立自然史博物館で(榊原智康撮影)

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 市内では毎年夏に「くじら祭」が開かれ、発見現場近くには「くじら運動公園」があり、マンホールのイラストはクジラと、アキシマクジラは市民に親しまれている。市は記念イベントを今春にも開く計画で、市教委の伊藤雅彦・社会教育課長は「『クジラの街』としての発信を強めていきたい」と意欲を見せる。

 田島さんが化石を発見した当時、四歳で現場に居合わせた長男の芳夫さん(61)も「論文の写しを仏壇に供えた。父も喜んでいるだろう」と、半世紀越しの新種認定に感慨深げだった。

<アキシマクジラ> 1961年8月、東京都昭島市宮沢町の多摩川にかかるJR八高線の鉄橋付近の土中からほぼ全身骨格が見つかった。全長12メートル。クジラは歯があるハクジラ亜目と歯がないヒゲクジラ亜目に大別されるが、ヒゲクジラ亜目のコククジラ属に分類。属はさらに細分され、現代に生きる種の「コククジラ」とは異なる新種であることが分かった。

 

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