東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 1月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

後継団体アレフ 「麻原信仰」今も 年100人入信

写真

 オウム真理教による地下鉄サリン事件から二十三年。元信者高橋克也被告(59)の上告棄却で、教団を巡る一連の刑事裁判は終結する。後継団体の「アレフ」は今も、教団元代表麻原彰晃(しょうこう)死刑囚(62)=本名・松本智津夫(ちづお)=への信仰を強め、勧誘を活発化させている。新たな信者の中には、当時を知らない二十代の若者が多い。事件を風化させず、教訓をくみ取る努力が今後も社会に求められる。 (岡本太、蜘手美鶴)

 アレフが拠点とする東京都足立区の施設。高さ約二メートルの仕切りで囲まれ、複数の防犯カメラも設置してある。「中で何をやっているのか、彼らが何を考えているのか分からない。裁判は終わっても不安が残る。一日も早く解散してほしい」。対策住民協議会の水上久志会長(73)は十九日、こうこぼした。

 アレフは発足した二〇〇〇年当初、「脱麻原」をアピールしていたが、最近は原点回帰を強めているとされる。公安調査庁によると、毎年、麻原死刑囚の誕生日に生誕祭を開催。年三回の集中セミナーでは、休憩や睡眠時間が十分ないまま、麻原死刑囚が説法する映像を見たり、唱和したりする修行がある。

 近年特に活発化しているのが信者獲得だ。アレフであることを隠し、仏教関係の勉強会やヨガサークルを名乗って、街中や書店で勧誘。会員制交流サイト(SNS)でイベント参加を呼びかけるなど、インターネットの普及で勧誘の手段は広がっている。

 現在の信者は約千四百五十人。毎年百人程度の入信者がおり、事件を直接知らない二十代の若い世代が多いという。

 オウム事件で教団元幹部らの心理鑑定を担当した立正大の西田公昭教授(社会心理学)は「若者が自分の生き方や社会に矛盾を感じ、悩みを抱えやすいのはどの時代も同じ。オウム事件後、彼らを受け止められるほど社会が成熟したとも言い難い」と指摘。若者がカルト宗教に取り込まれることに警鐘を鳴らす。

 オウムはバブル経済に沸いた一九八〇年代、精神的な悟りと社会の救済を掲げて信者を急増させ、九〇年代にかけて世界を震撼(しんかん)させるテロなどを引き起こした。事件の真の目的は何だったのか。なぜ防げなかったのか。公判では真相解明に至らず、検証を求める声は今も根強い。

 西田教授は「若い人たちには『自分もカルトに取り込まれるかもしれない』と気付いてほしい。大人も事件を語り継ぎ、社会の教訓とするべきだ」と訴える。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報