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【社会】

血栓検診、無料で13年 新潟中越地震の被災地で地元医師

新潟県中越地震以降、地域住民の脚の血栓の有無を調べ続ける榛沢和彦さん(左)=2017年12月2日、新潟県小千谷市で

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 新潟大病院の医師で、血管外科が専門の榛沢(はんざわ)和彦さん(53)は、二〇〇四年十月に起きた新潟県中越地震の被災地で、エコノミークラス症候群の無料検診を、地震発生の直後から十三年余り続けている。資金難から中止を検討した時期もあったが、寄付を集めるなどして乗り越えてきた。榛沢さんは「可能な限り長く、被災地の人々を診ていきたい」と語る。

 エコノミークラス症候群は、同じ姿勢で長時間立ったり座ったりして脚がうっ血し、静脈に血栓ができる。いったん発症すると再発しやすいとされ、突然死する恐れもある。災害時には、身動きしにくい車中泊や避難所での生活が一因になる。

 昨年十二月、新潟県小千谷市の学習施設。臨床検査技師らがエコー検査で住民の脚の静脈を調べる傍ら、榛沢さんが「血栓があると言われたことはありますか」と住民に問い掛けていた。検診を受けた無職渡辺純子さん(66)は「昔から血流が良くないと言われている。定期的な検診はありがたい」と話し、安心した様子を見せた。

エコー検査で地域住民の脚の血栓の有無を調べる臨床検査技師(右)=2017年12月2日、新潟県小千谷市で

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 地震発生直後から、定期的に被災者の血栓の有無を調べていた榛沢さん。高頻度で血栓が見つかり、一度できたものが一年以上消えずに残る場合もあったため、「しばらくフォローが必要だ」と感じ、〇六年以降も年一回の検診を実施してきた。

 検診は技師らのボランティアや病院からの寄付金などで運営。国の補助金は〇七年ごろになくなり、一時は中止も検討したが、研究会の開催費用の一部を充てて資金を捻出してきた。

 予防には適度な運動や水分の補給が必要と指摘する一方、根本的な解決には避難所にベッドを導入するなどの環境改善が必要だと強調。「被災地で血栓の頻発や再発といったおかしなことがあると分かったのに、途中でやめるのは無責任」。これからも地域住民の生活を見守り続ける。

 

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