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【社会】

東電強制起訴公判あす再開 津波対策の証言焦点

 二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の勝俣恒久元会長(77)ら旧経営陣三被告の第二回公判が二十六日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれる。公開の法廷での審理は、昨年六月の初公判以来で約七カ月ぶり。未曽有の大事故の刑事責任を問う裁判で、証人尋問がいよいよ始まる。 (岡本太)

 関係者によると、少なくとも十四人の東電関係者らが証人として呼ばれる見込みで、今後の公判で順次尋問する予定。二十六日には東電の事故調査報告書を取りまとめた社員が出廷する。事故前、東電内で津波対策がどう検討されていたか、などについて証言する可能性がある。

 被告は、勝俣元会長と武黒一郎元副社長(71)、武藤栄元副社長(67)の三人。公判では、巨大津波が襲来する危険性を具体的に予見できたか、対策をしていれば事故は防げたか、などが争点となっている。

 初公判の冒頭陳述で、検察官役の指定弁護士は、東電が〇八年三月、国の地震調査研究推進本部の長期予測を基に「原発が立地する海抜十メートルの高さを超える最大一五・七メートルの津波がくる」との試算結果があったのに、「津波対策を先送りした」と主張。試算当時、東電が検討していた津波対策として、敷地南側から東側全面を囲う海抜二十メートルの防潮堤の図面を証拠提出した。

 これに対し、被告側は試算の基となった長期予測は「成熟性や信頼性に疑問があり、予見の可能性を生じさせるほどではなかった」などとし、三人の無罪を主張。試算結果を前提にしても必要となる防潮堤工事は敷地南側だけで、実際に津波がきた敷地東側の防潮堤設置を動機付けるものではなく、事故は防げなかったと反論した。

 原発事故の被災者らが国や東電に損害賠償などを求めた民事訴訟では、昨年三月の前橋地裁、同九月の千葉地裁、同十月の福島地裁の判決が、いずれも長期予測を基に、遅くとも〇二年または〇六年までには巨大津波の襲来を「予見できた」と判断し、東電の責任を認めた。今回のような個人の刑事責任を問う刑事裁判は、民事より立証のハードルが高いとされる。

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