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【社会】

雲隠れ半月「謝罪遅い」 「はれのひ」社長会見

記者会見する「はれのひ」の篠崎洋一郎社長=26日夜、横浜市中区で

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 成人式を前に突然営業を停止した振り袖販売・レンタル業「はれのひ」(横浜市)の篠崎洋一郎社長(55)が、問題発覚から十八日たって、ようやく公の場に姿を現した。記者会見する姿に対し、人生の晴れ舞台を傷つけられた被害者らからは「謝罪が遅い」「時間は戻らない」など、怒りや悔しさ、失望の声が上がった。 (鈴木弘人、加藤豊大、鈴木貴彦)

 「謝罪が遅すぎる。全く心に響かない」。同社の営業停止により、予約していた着付けとメークができなくなった横浜市南区の専門学校生和田奈々さん(20)は記者会見での篠崎社長の様子を知り、こう憤った。

 式当日、レンタルした着物は手元にあり、着付けとメークも別の業者に頼んで出席はできたものの、一生に一度の舞台を台無しにされたとの思いは消えない。「当日は慌ただしく、友達と一緒に振り袖姿で写真を撮れなかった。時間は戻らない」と言葉少なに語った。

 娘の振り袖を三十数万円で購入し被害に遭った東京都八王子市の四十代主婦は、雲隠れしていた社長が会見したことに「少しでもいい方向に向かってくれることを願うばかり」とあきらめきれない様子だった。

 同社と取引があった都内の印刷会社社長も「経営者として非常に無責任だ」と、怒りをあらわにした。

 二〇〇八年から取引を始め、昨年三月ごろに支払いが滞り始めたという。「社長と連絡が取れなくなり、おかしいと思っていた」と振り返り、「関係業者は『一生の思い出を残してもらおう』と、成人式の一日にかけて日々仕事している。被害に遭った新成人のことを思えば、いくら謝っても通用しない」と切り捨てた。

 八王子市内の「フォトスタジオプライム」は被害者を支援しようと二月まで、被害者の衣装代や着付け、ヘアメーク、撮影料を無料にしている。代表の河村優子さんは「振り袖だけではなく、卒業式のはかまを予約した人もいる。その人たちが預けた着物や撮影した写真を、一日も早く返してあげてほしい」と話した。

 同市で成人式を担当する市教育委員会の平塚裕之生涯学習政策課長(52)は「一生に一度の大切な日を、つらく悲しい日にしてしまった業者の行為に今も強い怒りを感じる。この際、社会の中で責任ある対応をして、精いっぱいの償いをしていただきたい」と語った。

◆社長「取り返しつかない」

 篠崎洋一郎社長の記者会見での一問一答は次の通り。

 −破綻の経緯は。

 「急激な出店で人件費などのコストがかさみ、大幅な赤字になった。経営判断を間違った」

 −経営悪化後も注文を取り続けたのは詐欺ではないか。

 「店は開いていたので従業員も私も必死で営業していた。そういうつもりは毛頭なかった」

 −金融機関との交渉は。

 「昨年十月中旬にはこうした事態が想定できた。融資してもらえるよう交渉したが、断られた」

 −なぜ成人式当日に営業できなかったのか。

 「前日のぎりぎりまで交渉を続けていたが、着付け費用を支払うめどが立たなかった」

 −当日はどこで何をしていたのか。

 「知人の家にいた。一生に一度の成人式を台無しにし、取り返しのつかないことをしてしまったという気持ちだった。こうした事態になったのは、全て私に責任がある」

 −被害者への言葉は。

 「深くおわびを申し上げたい。顧客には着物が届くよういち早く対応したい」

 −弁済できる資産は。

 「個人の資産は預金が数十万円あるだけで、それ以外はこの一年間で会社に入れてしまった」

 

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