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【社会】

座り姿重視「さかさまデニム」 車いすではきこなす

昨年11月に東京・新宿で開いた展示会の会場で「さかさまデニム」をはくなかざわけいこさん

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 車いすに乗っても、おしゃれに見せたい。事故で車いす生活になった千葉県の女性が、そんな思いをかなえるデニム生地のズボンとスカートを十年がかりで開発した。一般の服は立ち姿からデザインされるのに対し、「座った姿に合うように」と逆の発想から生まれた服は、名付けて「さかさまデニム」。インターネットで販売し、好評だ。 (神谷円香)

 開発者のなかざわけいこさん(42)は、世界的デザイナーを数多く輩出した文化服装学院(東京都渋谷区)で学んだ。卒業から四年後の二〇〇〇年、スノーボード中の事故で脊髄を損傷し、車いす生活に。お気に入りだった細身のスリムジーンズがはけなくなった。

 既製のズボンは、脚を伸ばして立った姿勢に合わせているので、車いすに座ったままだと腰回りが食い込み苦しくなる。楽に座るには、ぶかぶかのズボンをはくしかない。「ないなら自分で作ろう」。一念発起し、〇六年ごろから試行錯誤を始めた。

 伸縮性のあるデニム生地を選び、後ろの股上を延ばして腰回りに余裕を持たせた。座ったまま脱ぎ着できるよう、ファスナーはできるだけ長くした。できたのは、立つとお尻の部分がぽっこりと出たデザイン。試作段階で見せた母校の学生から「かわいい」と好評だった。

 同様にお尻が出たスカートも作った。工夫したデザインは一五年に意匠登録。一六年春、「カムパネルラ」というブランド名でネット販売を始めると、「はきやすい」「こんな服が欲しかった」と反響を呼んだ。

 別のデザインや子ども服も手掛けたいが、一人では限界があるという。「選択肢がたくさんある時代なのに、私たちが選べる服は少ない」となかざわさん。恩師で開発の相談に乗ってきた文化服装学院の文化・服装形態機能研究所長、伊藤由美子さん(65)も「衣食住は生活の基本。着られる服だからといって何でも良いわけではない」と話す。

 購入、問い合わせはカムパネルラのサイト(「さかさまデニム」で検索)から。価格は税抜き、送料別でズボンが一万四千八百円、スカートが一万二千円。

◆大手メーカーも研究に乗り出す

 障害のある人にも着やすい服を、オーダーメード以外で大手アパレルメーカーが生産するのは採算面で厳しい。そんな中、オンワード樫山(東京)は一六年から、文化・服装形態機能研究所と研究に乗り出し、車いす利用者三人のサイズを測ってサンプルを作った。

 座ったままでも着崩れしないよう、上着のボタンの位置やズボンの形を工夫。今のところ発売の見通しはないが、オンワード技術開発課の秋山和雄さん(67)は「スーツは技術的に難しい。ただ、イージーオーダーならできるめどがついた」と手応えを感じている。

 

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