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【社会】

専門医研修 都市に集中 外科「10人未満」27県

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 若手医師に分野ごとの高度な知識や技術を身に付けてもらうため、四月から新たに始まる専門医養成制度で、医師が希望する研修先が大都市に集中し、地域に大きな偏りがあることが二十八日、分かった。外科は東京での研修希望者が百七十人に上る一方、青森、高知など二十七県は十人未満、内科でも九県が十五人以下だった。指導医の数など、研修機関としての基準を満たす病院が地方に少ないことが背景にある。

 新たな制度は大学の医学部教授や公的機関の代表で構成する一般社団法人「日本専門医機構」(二〇一四年設立)が運営。研修先登録結果は同日までに機構が公表した。

 若手医師は研修終了後も即戦力としてとどまることが多く、地域偏在が続けば地方ではさらに医師の確保が難しくなる。専門家は「研修先の基準見直しなど、早急な対策が必要だ」としている。

 制度の対象は医師国家試験に合格し、国が義務付けている二年間の初期臨床研修を終えた若手で、希望する診療科と、研修先の医療機関を選ぶ。

 診療科ごとに研修プログラムが決まっており、例えば外科では消化器官や心臓などさまざまな部位の手術を執刀医として百数十例経験する必要がある。研修終了後、試験と合否判定は各学会が行い、機構が専門医認定する。患者は病院を選ぶ際に、治療水準を判断する目安にできる。

 一八年度の登録結果によると、外科希望者が十人未満だったのは二十七県で、群馬、山梨、高知は一人しかいなかった。東京が百七十人と圧倒的に多く、大阪六十九人、愛知五十一人、神奈川三十八人が続いた。内科も同様の傾向だった。

 研修の中心となる基幹病院は、指導医の数や年間手術件数といった厳しい基準があり、大都市の大学病院や大病院が多い。結果を分析した仙台厚生病院の遠藤希之(まれゆき)・医学教育支援室長は「当初から地方の病院では専門医(の認定)取得が難しいという批判があった。早急に制度全体を見直さなければ手遅れになる」と指摘する。

 専門医はこれまで各学会が独自に認定していたが、基準がばらばらで「医師の質や統一性に問題がある」として新制度が導入された。

◆偏る原因、議論を

<日本病院会の相沢孝夫会長の話> 「医師不足」「地域偏在」が言われるようになって久しいが、いまだにどの地域にどれくらいの医療体制が必要なのか、正確に検討、把握されていないのが実態だ。今回の登録結果を受け「大都市に偏っているから定員を地方に振り分けよう」という短絡的な対応に終始するべきではない。なぜ偏っているのか、根本的原因をもう一度正面から議論し、必要な医師の数だけでなく、医師を育てる基盤をどう整えていくのか、総合的に考えていく必要がある。

<専門医> 日本では国家試験に合格して医師免許を取得すると、基本的な診療ができるように2年間の臨床研修が義務付けられている。その後は各地の病院などで本格的に働き始めるが、特定の診療科で高度な知識や治療技術を身に付けるため「専門医」の認定を目指す人が多い。これまでは各学会が独自に認定していたが、基準が異なり、領域も100以上に細分化していたため、2014年に第三者機関の「日本専門医機構」が発足。外科や内科など基本的な19診療科について学会の養成プログラムをチェックし、専門医を認定する制度が18年度に始まる。

 

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