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【社会】

街の安全、鉄壁の守り 元なでしこ選手が警官に

警視庁成城署の交番に勤務する田子亜貴巡査=2017年12月、東京都世田谷区で

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 警視庁成城署(東京都世田谷区)の交番に、異色の経歴を持つお巡りさんが勤務している。女子サッカーのなでしこリーグや、ドイツ・ブンデスリーガでディフェンダーとしてプレーしていた田子(たご)亜貴巡査(28)。「街の安全を守る仕事がしたい」と、第二の“ピッチ”での活躍を誓う。

 福島県いわき市出身。五歳ごろからサッカーを始め、「負けず嫌い」な性格を原動力に、もっぱら男子たちに交じって練習に明け暮れた。

 高校時代からは女子サッカー部に所属し、ユニバーシアード日本代表に選出。銀メダルの獲得に貢献した。二〇一一年になでしこリーグに所属する埼玉県のクラブチームに入団し、一年半後には「世界トップクラスのサッカーを感じたい」とドイツへ渡った。

 一四年に帰国後、足首のけがに悩まされ、一五年にユニホームを脱いだ。民間企業の事務員として働き始めたが、「デスクワークより体を動かす仕事の方が性に合う」と思うようになり、新たな道を模索する日々が続いた。

 そんな中、ドイツ移籍や海外遠征で目にした光景が頭をよぎった。選手同士の声が聞こえないほどのフーリガンによる激しいブーイングや暴動…。地元警察も対策に追われる状況への怒りがよみがえり、「大好きなサッカーの場を乱すのは許せない」と警察官を目指すことを決めた。

 事務員の仕事の傍ら、空いた時間で公務員試験の勉強に励んだ。苦労が実り、警視庁の採用試験に合格。晴れて一六年九月から警察学校に入り、卒業後の一七年三月に成城署に配属された。

 警察官になって一番心に残っているのは、初めて職務質問したときのこと。ふらふらと自転車に乗る中年の女が気になって声を掛けると、自転車は近くで盗んだものだった。持ち主の女性に感謝され、「純粋に人のためになる仕事なんだ」と胸を打たれた。

 勤務しているのは、世田谷区大蔵二にある交番。いつか、殺人や強盗など凶悪事件を捜査する刑事になることが目標だ。「周囲を観察し、連係プレーが必要なのはサッカーと同じ」。選手時代と変わらない闘志を胸に秘め、住民らの安全を見守っている。

 

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