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【社会】

詰まる言葉も歌えばノリノリ 吃音ダンサー 爽快ステージ

吃音を利用した大西健太郎さんのパフォーマンス=浜松市中区で

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 吃音(きつおん)から生じる言葉の詰まりを逆手にとって、音楽パフォーマンスを演じるダンサーがいる。東京都台東区の大西健太郎さん(32)=静岡市駿河区出身。「吃音の音としての魅力を伝えたい」と意気込む。連続した音をラップに乗せ、全身を躍動させるエンターテインメントに変えてステージに立つ。 (松島京太)

 「♪そのとき、ふたふたふたふたふたふたふたふたふたふたりは(二人は)」

 「♪ゴボンと、とと(音)を立て」

 詰まりやすい言葉をあえて歌詞に乗せ、軽快なリズムでラップのように口ずさむ。

 ジャケット姿にはだしで太眉のメーク、ベルトの代わりにネクタイを腰に巻いた奇抜な格好で歌に合わせて滑らかに踊りだす。不思議なパフォーマンス「オオノマトペ」は観客の心をわしづかみにした。

 アクトシティ浜松(浜松市中区)で七日に開かれた音楽パフォーマンスの祭典「スタ☆タン!!2」で、初めて披露した。昨年十月の一次審査で、全国から集まった六十組以上のパフォーマーたちの中から十七枠の出場権を勝ち取った。

 審査員を務めたデザイン活動家のナガオカケンメイさん(52)は「とても気持ちが良いパフォーマンスだった。自分の障害をとても前向きに捉えている姿に、あっけにとられてしまった」と話す。

 大西さんは幼い頃から言葉が詰まりやすく、他人と会話するのが苦手だったという。

 特に苦手な音は母音から始まる言葉。名字の「おおにし」が詰まったり、発声できなかったりした。小学校での朗読や発表会では言葉が思うように出せず「社会のテンポに乗ることができなくてしんどかった」と振り返る。

ステージへの思いを語る大西さん

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 そんなコンプレックスを抱いていた中学生の頃、新聞記事で吃音のある人たちの自助グループ「東京言友会」(東京都豊島区)を知り、入会。「吃音の人はおのずと詰まりにくい言葉を選ぶので、外に出せない感情がひしめき合っている」と気付き、その感情を表現できないかと考えた。

 高校生のとき、言友会が講師に招いた聴覚障害のある劇作家の故・竹内敏晴さんの「客にせりふを届けるためには、口だけではなく体の動きが重要だ」という言葉に感銘を受けた。「吃音のある人の思いを体の動きで表現したい」と思うようになった。

 志を実現するために東京芸術大学に進学し、同大大学院を修了。昨年八月、東京都のイベントで会った「スタ☆タン!!2」の主催者から参加を勧められた。

 今は吃音は自分の個性として捉えている。「吃音の悩みを一人で抱え込んで苦しむべきではない。マイナスなイメージを揺さぶっていければ」。そんな思いを込めて、自分にしかできないパフォーマンスに磨きをかけていく。

 

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