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【社会】

「生きていこうと思います」 少女、白石容疑者に直前伝える

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 神奈川県座間市のアパートで九人の遺体が見つかった事件で、警視庁は三十一日、群馬県邑楽町(おうらまち)の高校一年の少女=当時(15)=に対する殺人と死体損壊・遺棄の疑いで、白石隆浩容疑者(27)を再逮捕した。少女は自殺に関する会員制交流サイト(SNS)で同容疑者と知り合ったが、殺害されたとされる直前に自殺を思いとどまり、「生きていこうと思います」と同容疑者に伝えていたことが、警視庁の調べで分かった。 (谷岡聖史)

 捜査一課によると、白石容疑者は「所持金を奪う目的などで襲い、証拠隠滅のために殺害した。数千円奪った」と容疑を認めている。

 一課が明らかにしたSNSのツイッターや無料通信アプリLINE(ライン)の記録などによると、二人が知り合ったのは事件二日前の昨年八月二十六日。少女が「一緒に死んでくれる人いませんか」などと書き込み、白石容疑者が「首つりは一番成功率が高く、苦痛もない」などと接触した。

 しかし、少女は二十八日昼すぎ、座間市の現場アパート近くの小田急線相武台前駅に着き、白石容疑者と電話で会話した後、「いろいろ考えた結果、生きていこうと思います。直接言いにくいのですが、案内していただいて申し訳ないです」と送信していた。

 その後の午後八時ごろ、二人は電話で話しており、一課はこの電話で白石容疑者がアパートに誘い込み、殺害したとみている。

 一課によると、白石容疑者は調べに、昨年八〜十月に九人全員を殺害して遺棄したことを認めている。群馬県の少女は最年少で、行方不明になった時期などから二番目に殺害されたとみられる。

◆両親と約束かなわず

 殺害された少女の両親は三十一日、弁護士を通じて報道機関にコメントを寄せた。デザイン関係の仕事に就きたかったという少女の夢を明かし、「考えれば考えるほど悲しみが増してきます」とつづった。一方、犯行を認めている白石容疑者に対して「強い憎しみを覚えます」と憤った。

 「帰ってくることを信じ(ライブの)チケットを用意して待っていたのですが、残念ながらその願いが叶(かな)うことはありませんでした」。コメントには両親の無念さがにじむ。

 両親と少女は、ともに舞台やミュージカルなどを見るのが好きで、好みのアーティストも同じだった。行方不明になる前日も一緒に東京に出掛け、十二月と一月にライブに行く約束もしていたという。

 少女は「友達の良いところばかりに目を向けられる、優しくてよく笑う子」だった。美術系の大学か専門学校に進み、デザイン関係の仕事に就きたいとの夢を抱いていた。

 白石容疑者については「娘の純粋な心につけ込み言葉巧みに誘い込んだ犯人に対し、強い憎しみを覚えます」とつづった。

 少女の足取りが途絶えた神奈川県藤沢市の小田急線片瀬江ノ島駅周辺での本紙の取材でも、家族が必死に手がかりを求める様子が明らかになっている。失踪直後の昨年九月、家族は近くの商店街などで、少女の顔写真の入った手作りのチラシを配り歩いた。

 母親は周辺に設置されたカメラの管理者を訪ねて「防犯カメラの映像を、どうか見せていただけないでしょうか」と必死に頼み込んだ。駅を出た夜から翌朝までの映像を二時間かけて、何度も見返しながら凝視していたという。 

  (加藤健太、唐沢裕亮)

 

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