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【社会】

支え合い生活「もう一度会いたい」 札幌11人死亡火災 友人ら、無事祈る

共同住宅「そしあるハイム」に向かって手を合わせる女性=2日、札幌市東区で

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 生活困窮者らの自立支援を掲げる札幌市の共同住宅「そしあるハイム」で十一人が死亡した火災で、燃え方が激しかった一階の窓に格子がはめられるなど、緊急時に避難しにくい建物の構造が被害拡大を招いたとみられることが二日、関係者への取材で分かった。助かった入居者が北海道警に対し、「建物一階中央の北側にある居室内から火が出ていた」と話していることも捜査関係者への取材で判明した。 

 司法解剖の結果、死因は全員焼死で、身元の確認は難航している。道警は、業務上過失致死傷容疑を視野に建物の防火体制などを捜査する方針だ。

    ◇

 「そしあるハイム」の火災で、連絡が取れなくなっている入居者たちは、地域で友人らと支え合い、つましい生活を送っていた。親しい友人らは「もう一度会いたい」と安否を案じた。

 八年前にそしあるハイムで調理補助をしていた四十代の女性は、沢田昌子さん(76)の優しい人柄が忘れられない。以前、調理関係の仕事をしていたという沢田さんに盛り付けや刺し身の切り方を教えてもらった。

 女性が寒がっていると、沢田さんは灰色の上着を肩から掛けてくれた。「そのままあげる」と言われ、今でも愛用しているという。女性は「火事に巻き込まれたなんて信じたくない」とつらそうな様子で話した。

 白府幸光さん(61)は他の入居者が使うファンヒーター用の灯油を運んだり、一人でもくもくと雪かきをしたりしていた。「頼まれたことは何でも引き受け、人なつっこいやつだった」。白府さんと十年来の友人という会社役員大川邵(たかし)さん(80)は、振り返った。

 友人らによると、白府さんは足が不自由で速く歩くことができなかったが、近所の球場によく姿を見せ、草野球のグラウンド整備やボール拾いを手伝っていた。野球仲間の井上勝治さん(74)は「もし元気なら、もう一度球場で会いたい」と声を絞り出した。

 そしあるハイムの食堂では毎日三食が有償で提供され、朝はご飯、みそ汁、卵と納豆。昼は麺類。夜はアジフライやコロッケなどの揚げ物が中心だった。

 近くにある別の共同住宅で暮らす新聞配達員山田儀則さん(59)も、そしあるハイムの食堂でよく食事をしていたといい、大友靖男さん(78)の部屋に招かれ、大友さんが好きな時代劇や刑事ドラマを二人で見ていた。山田さんは「気の合う友達。心配でここしばらくは食事ものどを通らない」と肩を落とした。

 

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