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【社会】

障害者と健常者 支え合う人形劇 22〜25日に川崎で公演

人形劇「河の童」の練習中に、劇団員(手前右)の手話通訳で演出家の指示を受ける聴覚障害者の善岡修さん(右から2人目)=川崎市中原区のデフ・パペットシアター・ひとみで

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 耳が不自由な人と健常者が支え合いながら活動する人形劇団「デフ・パペットシアター・ひとみ」が今月下旬、川崎市内で、分かり合えない河童(かっぱ)と人間の姿を描いた劇を上演する。二〇一六年に相模原市で起きた知的障害者殺傷事件に、同じ障害者として衝撃を受けた団員たちが、障害者と健常者が共生できる社会のあり方を考えてもらおうと企画した。 (山本哲正)

 「子どもたちを見る動きを入れて」。先月上旬、川崎市内にある劇団の稽古場。河童が村の子どもと相撲を取る場面で、河童の人形を操る耳の不自由な善岡修さん(42)に、演出担当者が手ぶりを交えて指示を出したが、それを補足するため、健常者の役者が手話で善岡さんに伝えた。

 人形劇団の団員は、代表の善岡さんら九人。役者が人形を操りながら舞台上で演技するのが特徴だ。耳が不自由な役者は善岡さんら二人。相模原市の事件が起きたとき、善岡さんは、自らを被害者の立場に置き換え「(障害者の自分は)殺される立場だった」と感じたという。劇団では障害者と健常者が助け合ってきたため、新たな公演のテーマを共生にしようと決め、原作に火野葦平(あしへい)さんの短編集「河童曼陀羅(まんだら)」を選んだ。河童が村人に追いやられる話があり、共に生きる大切さを考えるのに適していると思ったという。

 劇団から脚本・演出を頼まれた宮崎県立芸術劇場演劇ディレクター立山ひろみさん(38)は、耳が不自由な役者二人の存在を作品に反映させた。その一人、榎本トオルさん(58)は家族の中で自分だけ耳が不自由で、六歳まで障害に気付いてもらえず孤独を感じた。立山さんはこの話を聞き、村の子どもたちの間で仲間外れにされて孤立する少女を登場させることにした。

 作品「河の童−かわのわっぱ−」は、河童は村の子どもたちと遊び、日々を過ごしているが、干ばつが続くと村人たちは河童のせいにし、河童から見ると不可解な行動を取る、という話。耳の不自由な家族の中で育った善岡さんは「僕は河童に近い」と自身の立場を説明する。その上で「河童、そして同じ人間同士でも、立場によって物の見え方はさまざま。いろいろな角度から物語を楽しんでほしい」と話した。

 公演は二十二〜二十五日の午後二時から、川崎市幸区のソリッドスクエアB1ホール。二十三日のみ午後七時からもある。前売り大人三千円など。チケットぴあなどで販売中。当日三百円増。問い合わせはデフ・パペットシアター・ひとみ=電044(777)2228=へ。

<デフ・パペットシアター・ひとみ> 1980年、川崎市中原区の人形劇団ひとみ座からスタッフが移るなどして結成。同区に拠点を置き、全国で年間60回前後公演。人形劇の振興を図る公益財団法人現代人形劇センター(同区)によると、耳の不自由な人の人形劇団は国内では他にないという。83年、聴覚障害者による無言劇の祭典・国際デフ・パントマイムフェスティバル(チェコ・当時チェコスロバキア)で審査員賞を受賞。

 

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