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【社会】

「奥多摩小屋 存続させて」 登山愛好家が署名活動「安全確保に」

奥多摩小屋=2017年7月、東京都奥多摩町で(小高令子さん提供)

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 日本百名山の一つで東京、山梨、埼玉の三都県にまたがる雲取山(二、〇一七メートル)の登山道沿いにある山小屋「奥多摩小屋」が、老朽化で廃止の危機にさらされている。所有する東京都奥多摩町は今春にも存廃の結論を出す方針。だが、雲取山頂を目指して休憩するのに登山口から遠過ぎず、近過ぎず、絶妙な場所にあるとされ、登山愛好家らは「安全確保のためにも必要」と存続を求める署名活動を始めた。 (服部展和)

 奥多摩小屋は、山梨県丹波山(たばやま)村側の登山口から東京、山梨都県境の尾根を通るメインルート沿いの山頂手前、標高約千八百メートルの地点にある。奥多摩町が一九五九年、東京国体の山岳競技開催に合わせて建設した。登山口から山頂まで休憩なしで六時間ほどかかるが、四〜五時間の所にある奥多摩小屋は宿泊もでき、体力の限界を感じた登山者の緊急避難場所などとして重宝されている。

 奥多摩町は一昨年、老朽化を理由に「近い将来解体する」との方針を打ち出し、昨年六〜十一月には床板などが腐って危険として約三分の一を解体した。国や都と協議し、今春にも小屋の存廃を決める方針だが、建て替えについて「数億円かかり困難」と表明し、廃止の可能性が高い。

 小屋には、山頂に近い雲取山荘の従業員が町の委託で駐在。現在は一晩に四十人を収容できる。眺望の良さから人気のテント場(約三百平方メートル)と共に管理しているが、小屋が廃止されると管理者不在となり、テント場も使えなくなる。

 こうした動きに都山岳連盟の小島和徳さん(58)や小高(おだか)令子さん(60)らが「奥多摩山域を愛する会」を結成し、昨年十一月から小屋の存続を求める署名集めを始めた。署名は国と都、町に提出し、(1)小屋の維持か再建(2)テント場の存続(3)環境に配慮したトイレの設置−などについて話し合いを求めるという。

 奥多摩小屋の建設以降、登山道沿いには、登山口寄りに七ツ石小屋が、山頂近くに避難小屋が造られ、町は「奥多摩小屋の役割は終えた」とする。これに対し、小島さんは初心者や高齢者の登山が近年増えているのを踏まえ、七ツ石小屋や避難小屋では、登山者の緊急避難場所として奥多摩小屋の代わりにはならないと主張。「小屋をなくすとテント場や周辺が荒れることが予想される。費用の問題は分かるが、環境保全のためにも存続してほしい」と話している。署名の問い合わせは、小高さん経営の料理店「川端」=電03(3260)3849=へ。

 <奥多摩小屋> 木造平屋の約200平方メートル。近くにヘリポートもあり、救助活動の拠点にもなる。素泊まりのみで1泊の利用料は小屋が4000円、近くのテント場は500円。利用者数は2007年度は小屋が565人、テント場が845人だったが、16年度は小屋263人、テント3373人とテント泊が大幅に増えた。雲取山の標高と同じ西暦として注目された17年度はテント泊だけで4000人を超える見込みという。

 

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