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【社会】

AIが観客誘導 東京五輪の混雑緩和へ 政府計画

平昌冬季五輪の開会式を終え、帰りのバスを待つ人たち=9日、韓国・平昌で(共同)

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 国内外から1000万人程度の来場が見込まれる2020年東京五輪・パラリンピックを快適に運営できるよう、政府が人工知能(AI)を使った混雑緩和システムの構築を計画していることが27日分かった。会場周辺の人の流れを予測、特に混み合う帰宅時に30分後の各地点の状況を、スマートフォンなどを通じて観客に案内し、最適な帰り道へと誘導する。大人数が集まるイベントを利用して今秋にも参考データの収集を始める方針だ。

 会場周辺の混雑は、前回一六年のリオデジャネイロ夏季大会でも問題となるなど五輪共通の課題だ。車の交通規制による渋滞緩和が主体だった、これまでの対策から、歩行者まで対象を広げた新たな試みとなる。

 一八年度予算案に計上された「官民研究開発投資拡大プログラム」の事業費から必要額を確保した上でスタートする。北海道から静岡まで各地で競技開催が予定されており、システムの導入会場は今後決定する。今後、データ解析で実績のある企業などを対象に計画への参加を募る方針だ。

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 このシステムは、競技終了後に大勢の観客が一斉に最寄り駅に向かうような状況での活用を想定している。会場付近に設置する電子看板や観客らのスマホを通じて混み具合を随時知らせ、すいている駅や経路を案内する。特に混雑しそうな場所に警備員を手厚く配置するのにも役立てる。

 人の流れの情報は、各ルートに配備したカメラの映像やセンサー、スマホを使ってインターネットに接続している人の数などから把握。事前に集めたデータと当日のデータを組み合わせてAIが混雑を予測する。個人情報保護の観点から、個人を特定できない形でデータを蓄積、分析する手法を検討する。

 得られたノウハウは、五輪後に災害時の避難誘導や市街地の整備計画などにも活用する方針だ。

 先の韓国・平昌冬季五輪では、中国の電子商取引最大手アリババグループがITを駆使した交通渋滞緩和システムを現地で紹介した。二二年の北京冬季五輪を見据えて実用化を目指している。

◆スムーズな移動 大会成功の鍵

 参加選手数の増加や広域開催などで巨大化した近年の五輪では、選手や関係者、観客のスムーズな移動をどう確保するかが大会成功の鍵を握る。これまでの五輪でも大会組織委員会は開催自治体などと協力し、車両の渋滞対策を主眼とした対応を取ってきた。

 二十五日に閉幕した平昌冬季五輪でスケートなどが行われた江陵では公共交通機関の利用を促すため、自家用車の使用を奇数日は奇数、偶数日は偶数ナンバーに限定し、交通量を抑制。路線バスを無料化した。

 高速道路の渋滞で報道関係者用バスが遅れることはあったが、組織委の担当者は「選手の移動に影響はなかった」と総括した。

 渋滞が慢性化していたリオデジャネイロで行われた二〇一六年五輪では、関係車両を優先的に通行させる「五輪レーン」を広範に導入した。開閉会式の当日や前後を臨時で休日とする措置も取られた。ただ一般車両が走行できる車線が減ったことで、一部では逆に渋滞が深刻化する事態が生じたほか、五輪レーンの不正通行が横行した。

 一二年ロンドン五輪も開幕前は交通問題が懸案だったが、公共交通機関の利用を徹底して呼び掛けたことなどが奏功した。

 

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