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【社会】

<福島 希望の朝へ> (2)祭り馬と共に歩む

かつて津波被害を受けた厩舎から、馬を連れ出し牧場へ向かう田中信一郎さん。馬たちは待ちわびたようにいなないた=福島県南相馬市原町区で

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 午前七時すぎ、大型ダンプが行き交う国道の横を馬たちが行く。奇異な目を向ける人は少ない。それだけ「野馬追(のまおい)の里」(福島県南相馬市)の風景に馬はなじんでいる。

 毎年七月に相馬地方で行われる祭礼は神旗争奪戦などに五百騎以上が参加。この勇壮な祭りに昨年、同市原町区の田中信一郎さん(58)が世話する馬も参加した。

 東日本大震災で厩舎(きゅうしゃ)に津波が押し寄せた。馬たちは耐えたが、田中さんが避難先から戻ると三十八頭中、十頭が餓死していた。「地元に馬が残らんと野馬追ができん」。福島第一原発から二十キロ圏内の家畜は安楽死の対象。馬と祭りを守るために奔走。市などに働きかけて飼育継続の許可を得た。

 朝の牧場に着いた馬たちはうれしそうに跳ね回る。「こいつら死ぬまで面倒みてやらんとな」。田中さんは愛(いと)おしそうに腹をなでた。 (写真と文・内山田正夫)

 

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