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【社会】

大成・鹿島2幹部を逮捕 リニア駅工事談合疑い

 リニア中央新幹線工事を巡る入札談合事件で、大手ゼネコン四社が品川駅と名古屋駅の新駅建設工事で不正な受注調整をしたとして、東京地検特捜部は二日、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で、大成建設(東京)の元常務執行役員と鹿島(同)の担当部長を逮捕した。

 ゼネコン業界は二〇〇五年に談合決別を宣言していたが、三兆円の財政投融資が投入された国家的プロジェクトで逮捕者が出る事態となった。

 逮捕されたのは、大成の元常務執行役員で同社顧問の大川孝容疑者(67)=東京都板橋区、鹿島の元土木営業本部副本部長で同社担当部長大沢一郎容疑者(60)=世田谷区。

 逮捕容疑は一四年〜一五年、大林組(同)と清水建設(同)の担当者と共謀し、JR東海が発注した品川駅と名古屋駅の新設工事で受注予定業者を決め、予定通り受注できるような価格で見積もりすることで合意し、競争を制限したとされる。

 特捜部は二人の認否を明らかにしていないが、関係者によると、大川容疑者は容疑を否認しているという。大成建設と鹿島は、公正取引委員会に不正を認める自主申告をしていない。

 一方、大林組と清水建設は不正を自主申告しており、特捜部は担当者の逮捕を見送って在宅のまま刑事処分を決めるとみられる。

 関係者によると、逮捕容疑となった品川駅の北工区と南工区は、清水建設と大林組の共同企業体(JV)が受注。名古屋駅中央西工区は大林組のJVが受注した。

 JR東海などは一五年以降、リニア関連工事を順次発注し、四社が代表を務めるJVが計十五件を三〜四件ずつ受注した。特捜部は昨年十二月八、九日、大林組を偽計業務妨害容疑で家宅捜索。同十八、十九日には公取委と共に独禁法違反容疑で四社を捜索した。

◆2社 一貫して否認

<解説> リニア中央新幹線を巡る入札談合事件は、東京地検特捜部が談合を一貫して否定してきた大手ゼネコン二社の担当者の逮捕に踏み切り、検察と二社との全面対決の様相となった。

 今回の事件の発注者はJR東海で、大手ゼネコンとの民間同士の契約だ。しかし、国が低金利で貸し出す三兆円の財政投融資が投入されたリニア工事について、特捜部は「公共性が高い」とみる。四社の談合で工事価格が高止まりし、最終的に乗車代金などで利用者負担が増えることは看過できないと判断した。

 これに対し、大成建設、鹿島の二社は担当者による情報交換はあったが、不正な受注調整はなかったと説明してきた。

 リニア工事は、営業中の新幹線の地下に新駅をつくったり、南アルプスにトンネルを通したりする「難工事」。JR東海が事前に参加業者を指定し、価格だけでなく技術提案も評価する方法で受注業者を決めていた。技術面の意見交換でJRやゼネコン四社が集まることもあり、二社は当初から競争原理が働きにくい構図があったと主張する。

 全面対決の中で、特捜部が二社の主張を突き崩して悪質性を立証できるかが、今後の捜査の焦点となる。 (山田祐一郎)

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