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【社会】

不要核物質の集約断念 費用面機構と折り合わず

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 全国の大学や病院、民間研究機関など約千二百カ所で使用しなくなり保管中の核燃料物質について、原子力規制委員会が、国内最大の原子力研究機関である日本原子力研究開発機構(茨城県東海村)の施設に集約して保管できないか協議していたが事実上、断念したことが三日、分かった。費用面などで折り合わなかった。保管中の大半の核物質は少量だが処分先はなく、所有者は引き続き、周辺に放射線の影響が出ない適切な管理を求められ、負担にもなりそうだ。

 核物質は核テロ悪用の懸念がある上、核兵器への転用を防ぐため、国は全所有者の数量を確認し、国際原子力機関(IAEA)に報告する義務がある。処分場や専門の管理機関など国の制度整備が不十分なまま散逸すれば、日本の原子力利用に対する国際社会の信頼低下につながりかねない。

 規制委によると、問題の核物質は法規制が始まった一九六〇年ごろまでは国内で比較的自由に流通しており、電子顕微鏡の試料の染色剤や陶磁器の塗料に使われていた。

 天然ウランか劣化ウランを三百グラム以下か、トリウム九百グラム以下の所有者は約千八百に上る。ほぼ全ての都道府県にいるとみられるが、規制委は「盗難などの恐れがある」として名称や所在地、個別の所有量を公表していない。三種類の核物質の総量は二〇一六年末で三十六〜四十九キロ。

 これとは別に、ウラン三百グラム超などを所有し、担当者の被ばく管理が義務付けられているのは三十七都道府県の二百十。規制委は名称や所在する都道府県を公表しており、メーカーや電力会社、大学が多く、個人もいる。核物質ごとの総量は天然ウラン百二十二トン、トリウム四トン。

 規制委が約千八百の所有者に意向調査した結果、回答した八割に当たる約千百が核物質を現在は使用しておらず「譲渡したい」と答えた。所有量が多い二百十のうち約百も使用予定がない。代替品の導入で、核物質を使う必要がなくなったことなどが理由だ。

 規制委は集約保管に向け一五年六月以降、機構と十数回協議したが、昨年二月を最後に途切れている。

 

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