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【社会】

車いす卓球 東京パラリンピックへ 娘の夢、歌でエール

娘への思いをつづったオリジナル曲を熱唱する茶田勉さん=静岡県沼津市内で

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 車いす卓球で二〇二〇年の東京パラリンピック出場を目指す娘の夢を後押ししようと、静岡県熱海市、旅館用品販売会社社長茶田勉(つとむ)さん(55)が、活動費を賄うために自作のCDを発売した。音楽仲間の協力で、支援の輪は広がり、三女のゆきみさん(29)は今年一月、世界ランキング十四位に上昇した。 (杉原雄介)

 「小学校から帰ってきたら全く歩けなくなっていた」。ゆきみさんは九歳の時、突然足の痛みを覚え、両足の感覚がない状態になり、免疫が脊髄の神経を攻撃する「横断性脊髄炎」と診断された。へそから下がまひし、歩けるまで回復することはないと告げられた。

 運動が好きで、中学校で「車いすでもできそう」と卓球部に入部。三年時に全国障害者スポーツ大会で金メダルに輝くなど活躍した。パラリンピック出場が夢となったが、実現するには国際大会での実績が必要で、遠征費など多額の費用がかかる。ゆきみさんは「親に迷惑を掛けたくない」と諦めていた。

 一三年に二〇年東京大会が決まった。「支えてくれた人たちに頑張る姿を見てもらえる。絶対に出たい」。娘の決意に茶田さんも「全力で支えるのが親の役目」と協力を約束した。

全日本選手権で優勝し、金メダルを掲げる茶田ゆきみさん=昨年11月、大阪市内で(茶田勉さん提供)

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 茶田さんは、趣味でライブハウスで歌っていたこともあり、音楽仲間から「CDを作って、売り上げをゆきみさんのために使おう」と持ち掛けられた。娘への思いをつづった茶田さんの詞に、仲間が曲を付け、昨年六月にアルバム「大切」が完成した。

 作曲した今川瞬(しゅん)さん(38)=東京都町田市=は「恥ずかしいくらい真っすぐな茶田さんの言葉は、茶田さんが歌うからこそ人の心を打つ」と歌詞の魅力を語る。

 茶田さんは静岡や東京での音楽イベントに参加。一枚千五百円のCDはこれまでに約三百枚売れた。身内の病気に悩んでいる人が「親子の頑張りに励まされた」と、十枚ほど買ってくれたこともある。

 ゆきみさんは一五年から世界大会に参戦。世界ランク十四位は自己最高だ。「父が人前で歌うのは恥ずかしかったけど、自分のことを知ってもらうきっかけになっている。応援の広がりが感じられて心強い」と感謝する。

 茶田さんは昨年末、新曲「深呼吸」を作った。「涙がこぼれそうになったら 大きく息を吸って ゆっくり胸のつかえを吐き出そう」と、ゆきみさんへのエールを込めた。「ゆきみには卓球で輝いてほしい」。父娘は笑顔で、二年後の夢舞台に挑む。

 

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