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【社会】

道徳教材「中断読み」を 都内教員ら本出版

「教科化がもたらす問題点も検証したい」と話す宮沢弘道さん(右)と池田賢市さん=東京都八王子市で

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 道徳の教科化が4月に迫る中、東京都内の小学校教員宮沢弘道さん(40)と中央大教授の池田賢市さん(55)が、「『特別の教科 道徳』ってなんだ?」(現代書館)を出版した。本では、教材を途中までしか読まない「中断読み」を提唱。道徳が評価の対象になり、子どもたちに価値観が押し付けられることを心配する教師らは、ひとりひとりの内面に介入しない授業の進め方を模索している。 (小林由比)

 四月から小学三、四年生の教科書で扱われる教材「同じ仲間だから」は(1)運動が苦手な光夫と運動会で同じグループになったひろしが、けがをしている光夫に練習を休むことを勧める(2)同じグループのとも子は休むよう勧めるべきか心が揺れる(3)とも子は「光夫さんを外して勝とうとするなんて、まちがっている」とひろしを諭す−というストーリーだ。

 宮沢さんらと一緒に道徳の教科化について議論してきた教員仲間は、授業で「同じ仲間だから」を使い、(2)までしか読まない「中断読み」を実施。すると、「光夫を休ませて勝ちたい」という教材が想定するひろしの考えに半数以上の子が気付かなかった。

 子どもたちからは「(運動会までに治してほしいから)光夫に練習をやめておけよと言う」「自分の判断で決めればいい」など、光夫とひろしそれぞれの立場に立って自由な感想が出された。

 教材の狙いは「友情・信頼」だが、宮沢さんは「教材を作る大人の発想以上に、子どもたちは優しさや豊かな発想をたくさん持っている」と指摘。「どういう読み方をすれば子どもたちの内面を操作せずに済むか考えるべきだ」と話す。

出版された「『特別の教科道徳』ってなんだ?」

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 宮沢さんも池田さんも、道徳の教科化について「教える中身にかかわらず、内心に関わることを評価も伴う教科とすることが問題だ」と批判している。

 しかし、教科化が目前に迫り、実際に授業をする現場の先生たちに問題意識を持って実践してほしいと、「『特別の教科 道徳』ってなんだ?」を出版。「同じ仲間だから」など六つの教材について、中断読みと最後まで読んだ時の子どもたちの反応の違いなど、具体的な実践例を紹介している。

 「公教育が『これが良いこと』と言い切ることへの警戒心が薄いと感じる」という宮沢さん。「幅広い人たちに読んでもらい、一緒に考えてほしい」と話す。

<道徳の教科化> 2011年に大津市で中学生がいじめを苦に自殺した問題をきっかけに政府の教育再生実行会議が13年に提言。翌年、中教審が教科外活動の小中学校の「道徳」を、正式な教科とするよう答申した。「特別の教科」として、小学校では18年度、中学校では19年度から実施。検定教科書を用い評価も行う。

 

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