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【社会】

あす東京大空襲73年 作家・早乙女勝元さんが児童書

東京大空襲で生き延びた母子を描いた新著を手にする早乙女勝元さん=東京都足立区で

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 一九四五年三月十日の東京大空襲の調査をライフワークとする作家の早乙女勝元さん(85)=東京都足立区=が、空襲体験者の実話を児童向けにまとめた「赤ちゃんと母(ママ)の火の夜」(新日本出版社)を出版した。十日は空襲から七十三年。「平和を未来につなげるため、子どもたちに戦争の悲惨さを追体験してほしい」と願いを込める。

 十二歳で東京大空襲を体験した早乙女さんは、空襲をテーマに多くの本を出版し、東京大空襲・戦災資料センター(江東区)館長として被災者の証言や記録も集めてきた。それだけに「体験者がいなくなる時代はもうすぐ。戦争体験の継承は最大のヤマ場を迎えた」と危機感を募らせていた。

 昨年、中学一年の孫から夏休みの課題で戦争体験について聞かれた。「戦争が始まればどうなるか、想像力を養うことが大切」と児童向けの出版を考えた。

 新著は、一九七一年に出版した「東京大空襲」で聞き取った武者(むしゃ)みよさん(故人)の体験談を選んだ。空襲の一時間前に十三人目の子どもを出産。街が火に包まれる中、医者や看護師が武者さん母子を担架に乗せて、看護師寮に逃げ延びることができた。だが、夫と十二人の子どもは死亡したと、後に知ることになる。

 早乙女さんは「私の知る限り、最も深刻で痛ましい被害。自らの危険を顧みず、他人を守ろうとした人がいたことも伝えたかった」と話す。

 ともにイラストレーターで早乙女さんの次男民(たみ)さん(49)と宏子さん(46)夫婦が絵を担当。本文最後の絵は、武者さん家族が全員で食卓を囲む様子にした。民さんは「死ぬ前に言いたいことがあったはずと考え、みんなが望んでいただろう家族のだんらんを描いた」と話す。十万人が犠牲になったとされる大空襲。その体験者一人一人に、苦しみや果たせなかった思いがあったことを、本に込めた。

 七十二ページで千四百円(税別)。問い合わせは新日本出版社=電03(3423)8402=へ。 (川田篤志)

 

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