東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

妻と死別 塩害乗り越え 宮城・名取市 77歳、特産メロン出荷

「名取北釜ファーム」の鈴木更治さん=1月、宮城県名取市で

写真

 仙台空港近くの海沿いにある宮城県名取市北釜地区の「名取北釜ファーム」。サッカーグラウンド十面以上になる約八万平方メートルの農地に百四十四棟のビニールハウスが立ち並ぶ。社長の鈴木更治(こうじ)さん(77)は東日本大震災の津波で妻と死別、農地の塩害を乗り越え、震災前より事業規模を拡大した。特産メロンの出荷も再開し「やっとここまできた」と振り返る。

 特産メロン「北釜クイーン」の栽培が盛んだった北釜地区では、ほとんどの農地が津波で被災。震災後は、塩害や地盤沈下で営農が困難になり、多くの農家が廃業した。約五十人の住民が犠牲になり、鈴木さんも妻一子(いちこ)さん=当時(67)=を失った。自宅と二十棟のビニールハウスも流失した。

 それでも、前に進むことをひたすら考えていたという鈴木さん。「震災前に母ちゃんと事業を大きくしたいと話していた」。妻の思いをかなえようと、二〇一四年に名取北釜ファームを設立した。

 だが、震災前と比べて土壌は変化した。海水で塩分濃度が高くなった表土を、山から運んできた土と入れ替えたが、土が硬くなり、作物がうまく育たなくなった。このため、堆肥として牛ふんやビールかすを投入。一五年からは、宮城県亘理農業改良普及センターやJAと協力して、定期的に土の成分を調べて状態をチェックしている。

 昨年秋には震災後初めて北釜クイーンを出荷した。鈴木さんは「経営は楽ではないけど、この土地で続けていく」と語った。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報