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【社会】

大切な人へ思い届け 午後2時46分に祈り

仙台市若林区荒浜で、東日本大震災の発生時刻に海に向かって手を合わせる人たち=11日午後2時46分

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 東日本大震災の被災地は十一日、鎮魂の祈りに包まれた。大切な家族や友を失った七年前の悲しみはいまだに消えず、さまざまな思いがこみ上げる。古里に帰れない悔しさと暮らしへの不安も募る。だが「もう泣かない」「前を向く」。海に向かって手を合わせ、復興への決意を新たにした。

 津波で浸水し、昨年四月から震災遺構として公開されている仙台市若林区の旧荒浜小校舎では、午後二時四十六分、人々が黙とうし、さら地で花が咲くようにと願いを込めてヒマワリやコスモスの種が入った千個の風船を青空に放った。

 「あそこで流され、車の上につかまって助かったんだよ」。会社員瀬戸寿之さん(41)は、校舎屋上で父正明さん(70)の被災体験を家族に伝えた。正明さんは今も当時を思い出しうなされているといい、長男颯太(そうた)君(9つ)は「知らなかった。おじいちゃんには長生きしてほしい」と真剣な表情で話した。

 東京電力福島第一原発事故で全町避難が続く福島県双葉町では、死者を慰霊する浜通り地方の伝統芸能「じゃんがら念仏踊り」があった。避難先のいわき市から参加した町の臨時職員菊地安(やすし)さん(66)は「震災から七年たっても町に帰れず悔しい。人が住まなくなり、町の風景は様変わりした。古里へ戻りたいが期待はできない」と唇をかんだ。

 岩手県大槌町の仮設住宅で暮らしながら菓子店を営む大坂十万里(とまり)さん(68)は早朝、亡くなった夫の武さんが好きだったビールを墓前に供えた。涙をこらえ「夫が見守ってくれている。周りの人と協力するから心配しないでと伝えた」と話した。

 

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