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【社会】

辺野古差し止め却下 沖縄県敗訴 国、新基地を加速

 米軍普天間(ふてんま)飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の名護市辺野古(へのこ)移設に伴う新基地建設を巡り、県が国の工事差し止めを求めた訴訟の判決で、那覇地裁(森鍵一(もりかぎはじめ)裁判長)は十三日、「県の訴えは裁判の対象にならない」として却下した。実質的な中身に立ち入らず、門前払いした。工事差し止めの仮処分申し立ても退けた。

 県は移設阻止を掲げるが、辺野古沿岸部の埋め立て承認取り消しの可否が争われた訴訟に続く敗訴となった。政府は移設工事を加速させる方針で、翁長雄志(おながたけし)知事の求心力低下は避けられない状況だ。翁長氏は訪問先の米首都ワシントンで記者会見し「納得できるものではなく、控訴したい」と述べた。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は記者会見で「司法判断に従い、国と沖縄県が協力して埋め立て工事を進めることが求められている」と述べた。

 訴訟では、沿岸部の埋め立て工事に伴い、海底の岩礁を破砕するのに県知事の許可が必要かどうかが争点だった。県側は、県漁業調整規則に基づき「許可を得ずに破砕することは違法だ」と主張。国側は「地元漁協が漁業権を放棄しており、許可は不要」と反論した。

 判決で那覇地裁は、自治体が条例や規則に従わせるために訴訟は起こせないとする最高裁判例を引用し「訴えは不適法だ」とした。

◆翁長氏「手段」わずか

 沖縄県名護市辺野古(へのこ)での米軍新基地建設を巡り、県が国を相手取った工事差し止め訴訟の判決で、那覇地裁が訴えを却下したことで、政府は工事を加速することが確実だ。今夏にも埋め立て土砂の投入を行うとみられる。「あらゆる法的手段」を使い建設阻止を訴える翁長雄志(おながたけし)知事が行使できる手段は限られてきた。

 菅義偉(すがよしひで)官房長官は十三日の記者会見で「司法判断に従い、国と県が協力して埋め立て工事を進めることが求められる」と強調。小野寺五典(いつのり)防衛相も、記者団に「国の主張が認められた。工事を進め、普天間(ふてんま)飛行場の一日も早い返還を実現したい」と語った。

 翁長氏は二〇一五年十月に、仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事が出した現場海域の埋め立て承認を取り消した。「取り消し」の効力を巡り政府と沖縄県が裁判で争った結果、一六年十二月に県の敗訴が確定。政府は昨年四月から、埋め立てに向けた護岸工事を始めた。

 県側は同七月に、海底の地形変更に必要な「岩礁破砕許可」の期限が切れているとして、改めて工事差し止めを求めて提訴していたが、十三日に退けられた。

 再び裁判で敗れた翁長氏にとって、残された手段の一つは埋め立て承認の「撤回」だ。一五年の「取り消し」は、承認前の事情を理由とする。一方「撤回」は承認後の事情の変化を理由に可能とされる。翁長氏側は、沖縄の主要選挙で辺野古への新基地建設反対の民意がたびたび示されたことや、許可がない状態での岩礁破砕行為などがあったとして、埋め立て承認を「撤回」できると考えている。

 県議会の知事与党内には、新基地建設の是非を問う県民投票を行う案もある。

 だが、二月の名護市長選挙では、建設反対を掲げた現職が、政府・与党が推した新人に敗れた。「撤回」が裁判で退けられた場合、「最大のカード」を失う。翁長氏に近い市長は県内十一市のうち二人と少数で、県民投票が行えるかも不透明。翁長氏は十一月にも行われる知事選をにらみ、難しい判断を迫られる。(村上一樹)

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