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【社会】

<原発のない国へ>(4) 再生エネ化、受注直結

イビデンの工場内の池に浮かぶ日本最大級のフロート式太陽光発電所=愛知県高浜市で、本社ヘリ「あさづる」から

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 スマートフォンのiPhone(アイフォーン)で世界的に知られる米アップル。そのホームページに昨年三月、岐阜県大垣市の電子部品会社イビデンの名前が掲載された。

 「アップル向け部品の生産を、すべて再生可能エネルギーにすると約束した、初めての日本企業です」

 「再生エネ100%で部品を生産できないか」。iPhone向けに電子回路などを製造していた同社に、アップルからアンケートが届いたのは二〇一六年。「すぐできます」と返信すると、アップルは「ビッグサプライズ!(驚いた!)」と反応した。

 イビデンには自信があった。一九一二(大正元)年の創業当初は、揖斐(いび)川で水力発電所を建設・運営する「揖斐川電力」だった。現在も水力発電所のほか、加工用木材をためていた愛知県高浜市の池に太陽光パネルを浮かべ、国内最大級の水上フロート式にするなど、二十一カ所の太陽光発電所を運営している。アップル向けの生産に必要な電力は確保できる。

 アップルが「地球環境の悪化を食い止めたい」と再生エネを重視し始めたのは、二〇〇〇年代に入ってから。欧米を中心に、環境に悪影響を与える製品の購入を避ける、消費者の意識の高まりが背景にある。

 まず、本社や各国の「アップルストア」など自社の施設で使う電力を、すべて再生エネにする目標を掲げた。各国で再生エネ専門の小売会社と契約したほか、資金を拠出して再生エネの発電所を設置。米国や中国など二十四カ国で再生エネ100%を実現し、一六年時点では世界全体で96%にまで高めた。

 「残り4%の大部分は、再生エネの価格が高く、制度も遅れた日本だった」(国内のアップル関係者)。昨年九月、ビル屋上を活用した都市型太陽光発電を手掛ける第二電力(大阪)と提携。日本に三百四カ所、一万七千キロワット分の太陽光発電所を造り、年内にも国内で100%再生エネとなる。

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 同時に力を入れたのが、iPhoneなど製品生産工程の再生エネ化。世界に広がる部品生産企業にも、再生エネの活用を求めている。納入している会社の関係者は「協力できる企業は、受注面で優遇される可能性がある」と明かす。再生エネ化は、業績に直結する課題となっている。

 アップルなど再生エネ100%経営を目指す企業は「RE(アールイー)100」というグループをつくっている。米マイクロソフトや独BMWなど百二十八社が加盟し、毎年、進捗(しんちょく)率を報告し合う。メンバーの米小売りウォルマートもアップル同様、商品の納入元に再生エネ活用を求める。

 「ビールから車まで、消費者が再生エネ使用の環境に優しい商品を選ぶ傾向は、世界的に加速する」と、米国ロッキーマウンテン研究所のリリー・ドンジ主幹。再生エネへの取り組み方によって企業が選別される時代が、もう始まっている。 (吉田通夫)

<RE100> 「Renewable Energy(再生可能エネルギー)100%」の略。再生エネだけでの経営を目指す企業でつくるグループ。英国の非政府組織(NGO)が2014年に立ち上げた。加盟社は再生エネ100%の目標達成時期を定め、毎年、進捗状況を報告する。日本では積水ハウス、リコー、アスクル、大和ハウス工業の4社が加盟。RE100のサイトに名前が掲載され、社会的責任を積極的に果たす企業としてPRできる効果もある。

 

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