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【社会】

川口いじめ放置 調査委、自傷の5カ月後

 「認識に甘さがあり、いたずらに時を過ごしてしまった」。埼玉県川口市立戸塚中学校の三年男子生徒(15)の不登校はいじめが原因と認定した第三者調査委員会の報告を受け、川口市教委の井上清之学校教育部長は十六日、会見で反省の弁を述べた。いじめを直視せず「不登校の解消が先」という姿勢を続けた学校や市教委。いじめ自殺の遺族は「氷山の一角。教育現場は全く変わっていない」と指摘している。 

 男子生徒が入学間もなくから所属するサッカー部でいじめを受けて以来、母親は度々、部活顧問や校長らに相談。二〇一六年九月に生徒が自傷行為をした後は市教委にも相談したが、市教委は「まずは不登校状態の解消が先。登校させた上で人間関係を修復する」という方針だった。サッカー部員の保護者会でも、男子生徒を登校させるための協力を呼びかけていた。

 いじめ防止対策推進法では、命や財産を損なうような事案を「重大事態」とし、学校が速やかに調査し、被害者の要望で市教委が調査委を設置するよう求めている。生徒の自傷行為の後、母親から相談された県教委や文部科学省は再三、「法律をしっかり認識しているか。重大事態ではないか」と指導したが、市教委は「まずは不登校の改善を目指す」と回答し続けた。一昨年十二月下旬、文科省から市教委が呼ばれ、井上部長は「不登校解消といじめ解決は同時にやらなければならないということが分かった」という。

 一七年二月の調査委設置後も、いじめについて「社会通念上で判断する」という独自の見解を母親に説明。中間報告では、いじめ行為として検討したうち、二項目しか認めなかった。これも県教委の指導を受け、最終的に七項目を認める結果になった。

 いじめ自殺遺族で、いじめ防止に取り組むNPO法人「ジェントルハート プロジェクト」の小森美登里理事は「法律ができても学校現場は変わっていない」と嘆く。「文科省の指針やガイドラインを、ほとんどの学校は勉強していない。いじめが起きるとどうしていいか分からず認めない方向へ逃げる」と指摘している。

 

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