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【社会】

<原発のない国へ>(5)太陽光電力 水で蓄え

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 車一台が通れるだけの曲がりくねった細い道を、標高約八百メートルの山頂近くまで上ると、フェンスで囲われた貯水池があった。風の音と鳥の声しか聞こえない。宮崎県木城(きじょう)町の山あいにある、九州電力の小丸(おまる)川揚水発電所。満々とたたえた水は、東京ドーム四・五杯分もあり、太陽光発電で生まれた電気を有効活用するための「蓄電池」として使われている。

 貯水池から標高を約六百五十メートル下ると、もう一つのダムがある。外からは見えないが、両ダムは長さ二・八キロの地下放水路で結ばれている。上のダムから放水して水路の途中にある発電機を回し、百二十万キロワットの出力で七時間運転できる。

 揚水発電は、標高差のある二つのダムで構成する。余った電気でポンプを動かし、下のダムから上のダムに水をくみ上げる。電気が足りない時には上のダムから放水し、水の力でタービンを回して発電する。従来は原発などで余った電気を使って夜間に水をくみ上げ、昼のピーク時に補助的に発電する使い方がほとんどだった。

 だがここ一、二年、太陽光発電の伸びを受けて、使い方が一変。ほぼ昼夜逆転した。

 揚水発電所を持つ電力会社は日中、太陽光発電でだぶついた電気で、水をくみ上げておく。日が傾いて太陽光が減ると、放水して発電。消費量の多い夕方の電力をまかなう。

 太陽光発電や風力発電は自然をエネルギー源とするだけに、安定性に欠けるのが弱点だ。再生可能エネルギーが増えるほど、電力が不安定になると批判されてきた。しかし最近では、電力会社が揚水発電所に積極的に電気を蓄えることで調整し、不安定さが小さくなりつつある。

 特に九州は日照時間が長く、地価も比較的安いこともあり、全国の太陽光発電の二割が集中。需要が少ない時期なら、九電管内の電気を、太陽光ですべてまかなえるほどの能力がある。その電気を、九電は三カ所の揚水発電所に蓄えている。計二百三十万キロワットの揚水発電所の総出力は、同社の川内(せんだい)原発(計百七十八万キロワット)を上回る。

 九電によると、揚水発電で日中に上のダムに水をくみ上げた回数は、二〇一六年度は九百六十九回。わずか二十六回だった一〇年度に比べ、三十七倍に急増した。一七年度は今年二月末現在で、既に千百七回に上っており、過去最多を更新する。

 こうした状況について、都留文科大の高橋洋教授(エネルギー政策論)が語る。「再生エネの発電量の変動に対応するには、揚水や火力などをうまく運用することが重要で、九電は頑張っている。電力会社の柔軟な運用次第で、再生エネが伸びることを示している」(伊藤弘喜)=おわり

 

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