東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 3月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

学校・市教委 いじめ放置 川口で中3不登校 国・県再三「対応を」

 埼玉県川口市の市立戸塚中学校で三年男子生徒(15)が長期間、不登校となり、市教育委員会は十六日、いじめが不登校の原因と認める第三者調査委員会の報告書を公表した。生徒は入学当初からいじめを受け、自傷行為もしたが、学校や市教委は適切な措置を取らず、文部科学省や県教委から再三指導されていた。いじめ防止対策推進法施行から四年以上が経過したが、教育現場の対応が進んでいない実態が浮かび上がった。 (柏崎智子、杉本慶一)

 報告書では、生徒は二〇一五年五月から一六年十一月にかけ、所属するサッカー部のLINE(ライン)グループから外されたほか、Tシャツの襟首を引っ張られて首が絞まった状態で倒されたり、仲のよい女子生徒の自宅へ部員らが押しかける嫌がらせを受けたとして、七つの行為をいじめと認定。不登校の主な要因とした。三年間解決できなかった背景として学校が組織的に対応しなかったことや、指導する立場の市教委と学校の間に遠慮やなれ合いがあったと指摘した。

 生徒や母親らによると、いじめはサッカー部で入学後まもなく始まり、エスカレート。生徒は一六年九月、自宅で手首をカッターで切り、不登校になった。三年になり登校を再開しても、いじめは続いた。昨年十月には学校が生徒の問題で保護者説明会を開いたが、いじめの有無を明確にしないまま説明したことで、逆に生徒と母親に対する中傷がネットで広がった。

 大津市のいじめ自殺事件の反省から一三年九月に施行された「いじめ防止対策推進法」では、命や財産を損なうような事案が起きた場合は「重大事態」ととらえて速やかに学校で調査し、被害者の要望があれば市教委が調査委を設置するよう求めている。だが、学校や市教委は生徒に自傷行為があっても重大事態ととらえず、母親の相談を受けた県教委や文科省から「重大事態として対応するべきだ」と再三指導されても「不登校の解消が先」と応じず、昨年二月になって調査委を設置した。

 校長は、生徒が三年生に上がる時に見守りや学習支援などの対策を文書にして約束したが、学年主任や担任教諭などには見せず、支援はほとんど行っていなかった。

 市教委は母親に報告書を渡し、「これだけ時間がかかり、傷つけて申し訳ない」と謝罪。母親は「子どもは心を壊されてしまった。謝罪は受け入れられない」と語っている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報