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【社会】

住めぬ故郷 命の森に 宮城・石巻に復興祈念公園

クロマツの手入れをしながら「命の循環を感じられる森にしたい」と話す古藤野靖さん=宮城県石巻市で

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 東日本大震災による死者・行方不明者が四百人を超えた宮城県石巻市の南浜地区。NPO法人「こころの森」の古藤野(ことうの)靖代表(58)は、人が住めなくなったこの場所に、地元の里山で拾った種から育てた苗木を植える。「何もなくなったけど、草木豊かな森に触れて訪れた人が笑顔になれば」と願う。 (高田みのり)

 南浜地区では国、県、市が復興祈念公園の整備を進めており、二〇二一年三月末の完成を目指す。市街化される前の湿地や林地を再現し、追悼の広場や高さ十メートルの避難築山、運動ができる多目的広場を整備する。古藤野さんは、その一角に立つ小さなビニールハウスで、ツバキやクロマツ、クヌギといった苗木一万株を育てている。

 小学校からずっと南浜で育った。家族は無事だったが、家は津波で全壊。南浜地区の三十九ヘクタールは居住制限区域になった。

 活動を始めたのは一一年十二月。まちおこしの活動に取り組んでいたことから、公園の基本構想検討委員に選ばれた。初めて見た公園のイメージ図には松と芝生しかなく、「訪れる人を寂しい気持ちにさせたくない」と、木や草花でいっぱいの緑あふれる公園設計を提案。一人で活動を始め、一四年にはNPOを設立した。

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 十五万本の植樹をする計画だ。昨年九月、震災後初の植樹祭でまず三千株を植えた。「命の循環を感じられる」と地元の里山にある木にこだわり、震災時に住民が避難して命を救われた日和山でも種を拾う。

 公園の有識者委員会の委員で、一般社団法人「ISHINOMAKI 2・0」の松村豪太代表は「地域のみなのため、大切にしてきた故郷のために、次世代に続く活動を続ける姿を尊敬している」と話す。市基盤整備課の鶴岡智宏さんも「将来も公園にずっと関わってほしい」と期待を寄せる。

 古藤野さんは、台風の強風でハウスが吹き飛ぶ苦労も体験した。植樹が本当に復興につながるのか悩んだこともあったという。だが、今では「私たちも自然の一部。自然と寄り添いながら生きるしかない」と感じている。

 

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