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【社会】

障害なく強制不妊 提訴へ 東京の70代男性「人生を返して」

 旧優生保護法(一九四八〜九六年)下で障害者らへの不妊手術が繰り返された問題で、中学二年当時に手術を強制されたとして、東京都の七十代男性が四月にも、国に損害賠償を求め、東京地裁に提訴する意向を明らかにした。男性は二十五日、都内で記者会見し「子どもができない理由を言えず苦しんできた。人生を返してほしい」と訴えた。

 男性によると、宮城県内の児童施設に入所していた一九五〇年代後半、職員に連れられ、説明なしに病院で不妊手術をされた。施設の先輩から「子どもができなくなる手術だ。同じ施設でほかに三人が受けた」と聞かされたという。男性に障害はなく、会見に同席した新里宏二弁護士は「『不良な子孫の出生防止』という旧法の趣旨を拡大解釈し、厳選せずに進めていたのではないか」とみている。

 男性は二十代後半で結婚。不妊手術を打ち明けたのは、四十年連れ添った妻が五年前に亡くなる数日前。「子どもができないのを知っていて、結婚してごめんね」。男性の告白に、病床の妻はうなずき「ちゃんとご飯食べてよ」とつぶやいた。妻との最後の会話だったという。

 宮城県への情報公開請求で記録は見つからなかったが、医師の診察で手術の痕跡が確認され、親族の証言もあり、提訴を決めた。新里弁護士は「手術記録の残っていない人が圧倒的に多く、今後の救済策の試金石になる」と語った。

 

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