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【社会】

座間事件 被害者9人全員の殺害立件 「女性に依存したい」生活困り金銭狙う

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 神奈川県座間市のアパートで九人の遺体が見つかった事件で、警視庁は今月二十二日、さいたま市の高校二年の女子生徒(17)への殺人容疑などで白石隆浩容疑者(27)を逮捕し、九人の被害者全員の殺人事件を立件した。昨年十月末の遺体発見から約五カ月。取り調べに対し、白石容疑者は「女性に依存して生きたかった」「殺害は証拠隠滅のため」との趣旨の供述をしており、生活費に困り、殺害を加速させていった姿が浮かんだ。 (木原育子、加藤健太、谷岡聖史)

 「楽をして生活したかった。ヒモになりたかった」。捜査関係者によると、白石容疑者は動機について金銭目的だったと一貫して供述しているという。

 昨年二月、風俗店スカウト時代に、女性を売春させると知りながら紹介したとして職業安定法違反容疑で茨城県警に逮捕された。保釈直後の三月に会員制交流サイト(SNS)のツイッターで自殺願望があるよう装い、女性と接触するようになった。「自殺願望はなかった。ヒモになるなら、狙うのは自殺希望者だと思った」

 五月には執行猶予付きの有罪判決を受け、実家へ戻ったものの「父親から、ちゃんと仕事をしろと言われるのがうるさくて嫌だった」。実家を出て、公園や公衆トイレなどで夜を明かすようになった。

 そんな中、最初の被害者とされる神奈川県厚木市の女性(21)とツイッターで知り合い、殺害現場になったアパートの入居費用など五十数万円を手にすることに成功。八月下旬以降、自殺をほのめかす書き込みをした女性を狙い、部屋に誘い込むようになった。

 だが、その後、白石容疑者が被害者らを殺害して奪ったとされるのは多くて一人二万〜三万円。五百円ほどしか取れないこともあった。「お金がなくて二、三日、何も食べられない日もあった」

 逮捕容疑では、当初はツイッターで連絡を取り始めてから殺害まで二週間以上の時間が空いていたが、その後は被害者の大半を知り合って三日以内に殺害。九月下旬は週三回のペースで事件を繰り返していたとされる。調べに「殺害の順番は覚えていない。三人目から八人目は区別がつかない」との話もしたという。

 茨城県警に職安法違反容疑で逮捕された経験から、「あんな(留置場での)生活は絶対に嫌だった」とも供述。警視庁は、殺害したのは証拠を隠滅するためだったとみている。

 東京地検立川支部は四月にも鑑定留置し、起訴へ向けて刑事責任能力を調べる。

 白石容疑者は、十回目の逮捕をされた今も反省や後悔の言葉を述べていないという。

◆募る喪失感…「帰ってこない」 17歳被害少女の父親 

 白石隆浩容疑者の事件で被害者となった福島市の高校三年生の少女=当時(17)=の父親(63)は今月中旬、本紙の取材に「亡くなったと言われても、まだ実感できない」とやり切れない思いを打ち明けた。

 捜査一課は今月八日、この少女への殺人容疑などで白石容疑者を逮捕した。少女は昨年九月二十八日、母親に「今から帰る」とメールを送った後、行方が分からなくなっていた。

 「絵を描くのが好きな子でね」。父親は寂しげに振り返った。少女が高校に入ると、父親は妻と離れて暮らすようになり、娘とは一年半会っていなかった。だが、今も一人で暮らす自宅の部屋には娘の写真や、書き初め展で入賞した時の表彰状が飾られている。

 父親は白石容疑者への怒りより、喪失感の方が大きいという。「裁判を見届けたいとは思わない。犯人がどうなろうと、娘が帰ってくるわけではないから」

 

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