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【社会】

「原発止められる協定」焦点 東海第二 協議大詰め

停止中の日本原子力発電・東海第二原発。左は廃炉作業中の東海原発=1月15日、茨城県東海村で、本社ヘリ「おおづる」から

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 首都圏唯一の原発、日本原子力発電(原電)東海第二原発(茨城県東海村)を巡り、原発三十キロ圏内にある水戸市など六市村と原電との間で、新たな協定の締結に向けた協議が大詰めを迎えている。六市村は、自治体側が「ノー」と言えば再稼働を止められる内容を要求。二十九日には東海村で最終会合が開かれる。住民の意思を反映した協定となるかが焦点となっている。 (山下葉月)

 「今の文言は人ごとのようだ。原電は責任を持たないとダメだ」。六市村のある首長が語気を強めた。原電が昨年十一月に示した協定案は「再稼働する際の事前了解は規定されていないが、事前協議で実質的に担保される」と曖昧な内容だった。

 六市村は「事前了解」の明確化を求め、まず「事前了解は規定されていない」の削除で原電と合意。「実質的に担保」も修正を求め、文言の細部にこだわり交渉。二十九日に示される協定案に、交渉関係者は「異論は出ないのではないか」と合意する方向だという。

 原子力規制委員会の新規制基準に適合した原発が再稼働する際、原発事故の不安から「周辺自治体の了解も必要」と各地で議論が起きている。再稼働に自治体が同意するかどうかは法的に必要なく、協定がそれを補っている面もある。電力会社が事前了解を得るのは立地自治体と県のみだが、三十キロ圏の自治体にも拡大すれば全国初となる。

 原電も事前了解の協定を結ぶのは県と東海村だけ。当初はこれに水戸市など五市を加えるよう求めたが、原電が難色。交渉リーダーの山田修・東海村長が「形にこだわらず実を取る」として別枠の協定となった。規制委の審査が終盤を迎え、六市村と原電は二十九日、「事前了解」を盛り込んで合意をしたい考えだ。

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 昨年八月の茨城県知事選での共同通信の世論調査で、県民に再稼働の是非を聞くと、反対派が64・6%で、賛成派の28・7%を大きく上回った。水戸市議会も再稼働反対の意見書を可決する見通しだ。一方、政府は二〇三〇年の電源構成目標で、原発を一六年度の2%から、20〜22%に引き上げる方針。ある首長は「電力会社が自分の首を絞めるような協定を結ぶだろうか」と疑念を抱く。

 二十九日にもまとまる協定内容は全国の注目を集める。東海第二原発の差し止め訴訟代理人の丸山幸司弁護士は「再稼働反対の住民の声が強ければ、首長は無視できない。協定により住民の声を代弁できる」と期待。成蹊大の武田真一郎教授(行政法)は「住民の意思を反映させるには拘束力を持つ契約にするべきだ。『六市村の合意がなくては再稼働できない』と明確な文言を盛り込めば誤解がない」と指摘した。

<東海第二原発の30キロ圏> 14市町村あり、全国の原発30キロ圏で最多の約96万人が住んでいる。原電と協定締結に向け協議しているのは水戸、那珂、日立、ひたちなか、常陸太田の各市と東海村。圏内の自治体は法律で、事故時の住民の避難計画をつくることが義務付けられている半面、新規制基準に適合と判断された原発が再稼働する際、電力会社が事前了解を求めた「地元」は、立地する市町村と県に限られている。

 

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