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【社会】

沖縄への思い集大成 両陛下、慰霊と平和願い続け

27日、国立沖縄戦没者墓苑で遺族関係者に声を掛けられる天皇、皇后両陛下=沖縄県糸満市で

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 二十七日から沖縄県を訪問していた天皇、皇后両陛下は二十九日夕、那覇空港から特別機で帰京された。来年の退位を控え、沖縄訪問は在位中最後とみられ、午後一時すぎ、那覇空港に集まった人たちに名残惜しそうに手を振っていた。

 両陛下は二十七日、国立沖縄戦没者墓苑で供花し、沖縄戦の遺族と面会。二十八日は日本最西端の与那国島を訪問した。二十九日は沖縄空手会館も訪れた。

 天皇、皇后両陛下は二十九日、在位中、最後とみられる三日間にわたる沖縄訪問を終えられた。戦没者慰霊や沖縄の文化、離島訪問などを通じて長年、沖縄に心を寄せてきた両陛下にとって集大成とも言える旅となった。

 印象的だったのは訪問初日の二十七日、国立戦没者墓苑(沖縄県糸満市)で出迎えた約二十人の遺族関係者らとの交流の場面だった。出迎えの遺族関係者らへの声掛けは墓苑に供花、拝礼後に行われるのが通例だが、今回は拝礼前と拝礼後の二回、出迎えの遺族関係者ら一人ひとりに声を掛けた。「墓苑では感慨深げな様子と感じた。所作から『最後の訪問になるのではないか』と受け止めた」とは随行した侍従の感想だ。

 両陛下とは即位後四回目の対面となった県遺族連合会前会長の照屋苗子さん(82)も「最初にお会いした時は『母親が生きている間に来てもらいたかった』と複雑な気持ちもあったが、両陛下が沖縄に長く心を寄せられているのを知って、今は感謝の気持ちでいっぱいです」と話す。

 二日目に訪問した日本最西端の与那国町での昼食会では、島おこしの特産品「長命草」などのほか、太平洋戦争の沖縄戦の影響で三百六十六人の島民が亡くなったマラリアの被害状況や、戦後にマラリアなどの感染症撲滅に貢献した同町出身の看護師与那覇しづさん(故人)のことも話題になったという。

 二十八日の会見でその様子を披露した翁長雄志知事によると、両陛下は与那国島を含む八重山諸島全体で三千六百人以上が亡くなったマラリアの被害状況の説明にも熱心に耳を傾け、皇太子時代の一九八五年の園遊会に招待された与那覇さんのことも覚えていたという。

 両陛下は、国内で唯一、住民を巻き込んだ地上戦が展開された沖縄戦と、戦後も長く米国の統治下に置かれた沖縄の痛みに特別の思いを寄せてきた。今回の訪問に随行し、終始一貫して慰霊と平和を願う姿をあらためて痛感した。 (編集委員・吉原康和)

 

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