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【社会】

<取材ファイル>「神」に利用されてるだけ お金や居場所ネットで求めた少女

「神待ち掲示板」を見る女性=東京都内で

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 「ネットカフェ難民してます。帰るところもないので困ってます」。インターネットのサイト「神待(かみま)ち掲示板」や会員制交流サイト(SNS)のツイッターには、こんな投稿が毎日のようにつづられる。

 居場所のない少女らは、夜を過ごす場所や食事をくれる男を「神」と呼ぶ。東京都内の女性(24)も高校生のころ、孤独感を埋めてくれる「神」を探していた一人だ。

 建設作業員の父親は気に入らないことがあると荒れ、幼いころから暴力を振るわれた。「家にいられず、一人で外にいるのもつらい。早く自立したい」。空き時間ができるのが不安で、アルバイトや友人と遊ぶ約束で毎日を埋めた。

 高校一年の冬、同級生のまねをして、初めてネットの掲示板で援助交際の相手を募った。「どうなってもいい」。人生に投げやりだった。見知らぬ男と会うのは危険と分かっていたが、たとえ偽りでも優しさに触れると怖さがなくなり、自分を売ることへの抵抗感も薄れていった。

 「今から会える人、いませんか」と掲示板に書き込むと、時には二百件もの返事があった。品川、五反田、大宮…。あちこちで待ち合わせ、一度きりの人は顔も思い出せない。時間と場所を提供してくれる人なら誰でもよかった。

 自分で設定した金額は三万〜五万円。ある男は、それより多い金額をちらつかせてきた。警戒心が緩んだ。人けのないホテルに行き、かぎを閉めた途端、カメラを回された。「名前と学校名を言え」と脅され、何度も殴られた。別の人には金を盗まれた。

 高校二年の冬に、妊娠した。親に言えず、黙って中絶した。一カ月して急に心が沈み、高校もやめた。「大人をばかにしてきたつもりだった。でも、ばかにされていただけかも」。その後、援交をやめた。

 親の虐待や性被害を受けた女性を支援する団体の活動に、十九歳のころから加わり、自分を見つめ直した。「お金、居場所、時間…。自分を助けてくれるのだから、相手の要求は断れないと、当時は思っていた。大人のずるさを分かっていなかった」

 神奈川県座間市で九人の遺体が見つかった事件では、自分と同じ世代の若者の命が奪われた。ツイッターに「死にたい」などと書き込んだ女性らに、白石隆浩容疑者(27)が共感を装って近づいたとされる。

 ネットに救いを求め、反応があると、必要とされているように感じるのは分かる。「でも、それは利用されているだけでは?」。「神」を待つ子たちに、そう声をかけたいと思っている。(神田要一)

 

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