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【社会】

おむつ持ち帰り なくします 使用済み、広がる保育所処理

トイレに置かれたごみ箱に使用済みおむつを捨てる保育士=2月、東京都品川区立大井保育園で(由木直子撮影)

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 保育所で子どもが使用した紙おむつは、保護者が持ち帰る−。こんなルールを見直す自治体が首都圏で増えている。保育所での処理費用などを新年度予算案に盛り込むケースが続々。昨年以降、インターネット上で「汚物を持ち帰るのは衛生面が心配」などと母親らから“異議申し立て”が起きていたが、保護者負担を減らす動きが広がっている。(増井のぞみ、中村真暁、奥野斐、原尚子)

 「保育の質を上げ、衛生面を向上させる」。東京都豊島区の高野之夫(ゆきお)区長は二月、予算案発表会見で胸を張った。「保護者が紙おむつを持って帰ると、買い物したり人に会ったりしにくい。これからは園できちんと処理する」

 同区では四月から、区内に百三ある全ての認可保育施設で紙おむつの処理を業者に委託する。予算は千二百九十三万円だ。

 これまでは区立は全て、私立は過半数がおむつを持ち帰ってもらっていた。家庭で便を確認し、健康状態を知ってもらうためと説明していたが、今回は「わざわざ開いてチェックする人はまずいない」(保育政策担当課長)と実効性を否定。便の異常は口頭や連絡帳で保護者に伝える。

 文京区も四月から公設公営の認可保育所で持ち帰りをやめ、業者が廃棄することに。同区認可保育園父母の会連絡会の小林奈央会長(39)は「保育士がおむつを仕分けする負担も減る。意見を長年、伝え続けてきた成果だ」と歓迎した。

 紙おむつの持ち帰りは、かつての布の時代の名残との指摘もある。家庭で洗って何度も使うため、持ち帰りが当たり前だった。ただ布が主流だった時代から、保育所側が洗濯などの処理をしていたという東京都品川区のケースもある。

 一方、区立の全認可保育所で持ち帰りを続ける大田区の担当者は「持ち込んだものは持ち帰るのが原則」としつつ、「今後はニーズを確認するべきかもしれない」と話している。

◆衛生面の不安改善へ

 使用済みおむつを持ち帰るルールへの「異議申し立て」は、持ち帰りに疑問を抱いたフランス在住のライター高崎順子さん(43)が昨年夏、ツイッターに投稿したのがきっかけの一つ。インターネット上で保護者らが実態や意見を書き込み、本紙などが報道した。

 高崎さんが二月十二日までの三日間にツイッターで日本の保護者に行ったアンケートでは、回答した千六十七人のうち49%がおむつを持ち帰っていた。日仏の保育事情に詳しい高崎さんは「日本の保育現場は多層的な問題があるが、おむつ処理のようにすぐに改善できる点もある」と話す。

 国の感染症対策ガイドラインでは、おむつの交換場所や保管方法は記されているものの、処分方法の記載はなく、自治体や施設の判断に任されている。

 国立国際医療研究センター感染症対策専門職の堀成美さん(49)は「衛生管理の基本は汚物をすぐ捨てること。感染リスクを増やすので、持ち帰りは見直すべきだ」と指摘している。

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