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【社会】

「意図的」との識者指摘も イラク日報問題

 「不存在」とされた陸上自衛隊イラク派遣の日報の存在が、野党側の資料要求から一年以上たって明らかにされた問題。防衛省は「当時、捜したが見つからなかった」としているが、識者からは情報公開のあり方や文書の扱いにあらためて疑問が出ている。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報を情報公開請求し、隠蔽(いんぺい)を追及したジャーナリストの布施祐仁さんは「意図的だったと思われても仕方がない」と指摘。防衛省側は、日報を、統合幕僚監部参事官が一元管理する過程で判明したとするが、「なぜこのタイミングなのか。南スーダンPKO日報であれだけ問題になったのに、情報公開の姿勢が問われる」と批判した。防衛省が国会議員らに「不存在」と答えていた昨年二月は、南スーダンPKO日報を巡って国会で問題化していた時期だった。

 布施さんは「活動を『非戦闘地域』に限るとしたイラク派遣部隊も、現地でいつ戦闘に巻き込まれてもおかしくない状況だった。日報が存在するのに開示してこなかったことが発覚すると、自衛隊の海外派遣そのものの是非が問われかねないと危惧したのではないか」と推測。「なぜ当時開示できなかったのか、第三者機関で調査し、経緯を明らかにするべきだ」と話す。

 またNPO法人「情報公開クリアリングハウス」の三木由希子理事長は「日報を長期的に保管し、部隊の活動や情報収集能力、さらに情報評価や政策判断が適切だったのかを検証、教訓化して、次の活動の質を高める糧(かて)にすべきなのに、実際には一次情報が防衛省で活用されてこなかった表れだ。公文書管理というレベルの問題に矮小(わいしょう)化してはならない」と指摘した。 (原昌志、辻渕智之)

<自衛隊イラク派遣> 米国が「有志連合」を率いて2003年に起こしたイラク戦争後の人道復興支援を名目に実施された活動。イラク復興支援特別措置法に基づき、陸上自衛隊は04〜06年に延べ約5500人を南部サマワに派遣、医療指導や給水、学校や道路の修復などを行った。戦闘が続く国への初の「戦地」派遣で、宿営地を狙ったとみられる砲撃は十数回に上ったが、死傷者はなかった。航空自衛隊も04〜08年、クウェートを拠点に陸自や米軍を中心とする多国籍軍の兵員、物資などをイラクへ輸送した。

 

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