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【社会】

ロヒンギャ難民の家族捜す 杉並の写真家、バングラデシュキャンプで撮影

ロヒンギャ難民を撮影している苅部太郎さん=東京・銀座で

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 あなたの愛する人はここにいます−。東京都杉並区の若手写真家が、ミャンマーからバングラデシュに逃れたロヒンギャ難民の肖像を撮り、インターネット上に公開している。武力衝突時の混乱などで生き別れになった家族に見つけてもらい、再会につなげるプロジェクトだ。 (神谷円香)

 「LETTERS TO YOU(あなたへの手紙)」と題し、写真家の苅部(かりべ)太郎さん(29)が開設したサイトには三十枚の写真が並ぶ。昨年十〜十一月、バングラデシュ南東部に点在する難民キャンプを回り、二週間かけて撮った。

 あえてインスタントカメラを使った。気温が四〇度に達する中で写真は溶けかけたり、色あせたりした。土ぼこりや被写体になった人の指紋も付いた。それがデジタル写真にはないリアリティーを生み出した。

 通訳を介し家族と別れた状況を聞き、それぞれの写真の裏には家族へのメッセージを書いてもらった。「戻ってきてほしい」「寂しい」。ビルマ文字のメッセージは、サイトに写真と共に並べた。

 父親を捜す十歳の男の子は「お父さんはよくチョコレートを買いに連れて行ってくれた」と話した。「自分もそうだったな」と思い出し、どこにでもある日常が壊された現実を感じた。

 愛知県出身。「人と人を隔てる境界線はどうしたら越えられるか」を考えてきた。南山大在学中、イスラエルとパレスチナを隔てる壁のルポを書いた。銀行に勤めながら写真を勉強し、二〇一五年に写真家として独立した。

 昨年、ロヒンギャ難民のニュースに触れた時、「遠い、抽象的な概念にしか思えなかった」。東日本大震災の被災者には、会ったことがなくても無条件で心が痛んだのに。「ロヒンギャを構成する一人一人が実在する感覚」を自分自身も得たくて現地に向かった。

 撮りたかったのは「具体的に被写体のためになる」写真。報じるだけで終わるのは嫌だった。「同情だけでは行動に結び付かない。ネットで写真を拡散してほしい」と呼び掛ける。

 現物の写真は、中央区銀座七のギャラリー「ガーディアン・ガーデン」で十三日まで展示中。開館は午前十一時〜午後七時、日曜休館。ネットで特設サイト=「Letters To You Project」で検索=を開いているほか、フェイスブック・インスタグラムのアカウント「letterstoyoupj」でも写真を公開している。

<ロヒンギャ> 仏教徒が9割のミャンマーで、西部ラカイン州を中心に暮らすイスラム教徒の少数民族。先住民族と見なされずに国籍がなく、市民権を求めている。昨年8月、ロヒンギャ武装勢力とミャンマー軍などが武力衝突し、約100万人と推計されるロヒンギャのうち68万人以上が隣国バングラデシュに逃れ、難民生活を送っている。

両親を殺され兄や妹とはぐれ「家族に戻ってきてほしい」と話した少女

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