東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 4月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

「日報ないのか」=「探せ」? 稲田氏発言に自衛官困惑 「指示と言うには酷」

写真

 自衛隊のイラク派遣部隊の日報が見つかった問題で、昨年二月に稲田朋美防衛相(当時)が「日報は本当にないのか」と再捜索を口頭で「指示」したとされることに、制服組から「あれを指示と受け止めるのは難しい」と戸惑いや不満の声が漏れる。本気で日報を探すつもりがあったのか疑問が膨らんでいる。(原昌志)

 「普通に読めば『探せ』という指示には受け取れない。担当者はせいぜい『こんなものが来ましたから、返事しておきます』と上司に声をかける程度だろう」

 ある幹部自衛官は声を潜めてぼやく。

 昨年二月二十二日、稲田氏の発言を受け、統合幕僚監部参事官付が陸上幕僚監部などの三つの担当部署に送ったメールは「大臣より『イラクの日報は本当にないのか?』とのご指摘がありました」と稲田氏の発言を「指摘」と表記し、「探索いただき無いことを確認いただいた組織・部署名」と尋ねている。明確に再度の捜索を指示する記述はなかった。

 稲田氏の発言は当時の統幕総括官が聞き、それを受け統幕参事官付がメールを出した。総括官らは、国会対応や他省庁との連絡調整を行う文官の背広組。各幕僚監部の担当者は当日中に返信したが、部署名だけを回答しており、メールを受けて捜索した様子はうかがえない。

 統幕や陸自、空自によると、重要な指示ならば文書形式で行われることが多いという。メールによる照会でも「海賊対処」「領空侵犯対処」と内容を明確にし、期限も指定することが一般的という。

 陸自では今回の「指示」に絡み、いったん「ない」と答えた日報が昨年三月二十七日に陸自研究本部(当時)教訓課で見つかったのに、防衛相に報告されなかった問題が発覚。防衛政務官の調査チームが経緯を調査している。

 陸自幹部は「結果的に日報はあったので、うちは責められても仕方がない。ただ昨年二月のメールを『捜索指示』と言われたら、担当者には酷だ」と漏らす。

 東北地方の陸自の駐屯地幹部自衛官も「言い方は悪いが、もし隠すつもりだったら後生大事に持っていない。昨年二月に『指示された』という意識自体、なかったとみるのが自然」と言う。

 なぜあいまいな「指示」だったのか。当時は南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報隠蔽(いんぺい)問題で、野党が政府を激しく追及していた時期。複数の自衛官は「指示を出す方に、見つからなくていい、くらいの感覚はあったかもしれない」との感想を漏らす。

 統幕の鈴木敦夫総括官は九日、参院決算委員会で「必ずしも正確に稲田氏の意図を伝達したとはいえず、改善の余地があった」と不手際を認めた。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報