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【社会】

ブラジル人弁護士、難関越え誕生へ 出稼ぎ母子家庭・言葉 負けず猛勉強

弁護士登録に向け司法修習中の日系3世ブラジル人青年、照屋レナン・エイジさん=2月、名古屋市で

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 愛知県の日系三世ブラジル人青年、照屋レナン・エイジさん(26)が難関の司法試験に合格し、早ければ年内の弁護士登録に向け司法修習を続けている。ブラジルの母子家庭に育ち、八歳で母の出稼ぎに伴い来日。苦しい生活、言葉の壁を猛勉強で越えた。外国人の権利を支えようと意気込む。公式統計はないがブラジル国籍の弁護士が誕生すれば異例の存在になる。

 ▼母がやつれていく

 学校から帰っても、工場で働く母レジナさん(45)は家にいない。子ども時代の照屋さんはテレビを見て過ごし、ドラマで弁護士という存在を知る。「強きをくじく」仕事ぶりにしびれた。「どちらかというと弱者側にいたので」と振り返る。

 無償のはずの公立校で、給食費、修学旅行の積立金、制服、体操服と支出がかさむ。家計を支えるレジナさんは「子どもの目にもはっきり分かるほどやつれていった」。

 小三のとき「休」と「体」の違いに気付かず「夏体み」と書いていた。中学の成績は下位グループ。高校に進み「名古屋大法学部に行き、弁護士になる」と高い望みを打ち明けたとき「先生がちゃんと受け止めてくれた」ことに今も感謝する。

 大学入試前の半年は放課後五時間、週末は一日八時間勉強。現役で名古屋大法学部に入学、同大学法科大学院を経て司法試験も一回で合格した。

 ▼若者たちに勇気

 このニュースは在日ブラジル人社会に、あっという間に広がった。外国人社会に密着して人権問題を調査してきた愛知淑徳大の小島祥美准教授にも情報が届いた。

 「ブラジル人の教員や地方公務員などが少しずつ出て、そんな中で弁護士になる人が現れた。生き方の先例としてブラジル人の若者たちが勇気、元気をもらえる意味は大きい」と喜ぶ。

 一方で厳しい現状も指摘する。「資格に挑戦する外国籍の若者は非常に多い。就職差別が根強く、能力だけでは認められない実情がある」

 照屋さんが気になるのは、世間に「○○人はこうだ」と決めつける言説があること。そして考えをうまく言えず権利を使えない外国人のことだ。

 弁護士として外国人たちの力になりたい、若い世代に日本で羽ばたく夢を持ってほしいと願う。「いろんな道がある。将来を貪欲に見て、いっちょうやってみようと思ってもらえたら。別の言葉が使えるのは、どの分野でも武器になる」

<外国人と弁護士資格> 日本で弁護士になるには司法試験に合格し司法修習を受けなければならない。司法試験は国籍を問わず受けられるが、司法修習は戦後長く日本国籍者に限られ、これがネックで外国籍のまま弁護士の道には進めなかった。1976年に司法試験に合格した在日韓国人の金敬得さん(故人)は不当だと訴え司法修習生の任命を取り扱う最高裁と交渉。最高裁は77年、規則を変え外国籍の司法修習生を認める方針に転換した。

 

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