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【社会】

五輪資料貸し出し・閲覧休止 旧国立内のスポーツ博物館・図書館

博物館に収蔵されている1964年東京五輪のメダル。貴重品も「死蔵」されてしまっている=東京都足立区で

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 旧国立競技場(東京都新宿区)にあった過去の五輪のメダルなどスポーツ関連資料を保管する「秩父宮記念スポーツ博物館・図書館」が収蔵する資料約六万件と図書約十六万五千冊について、これまで行っていた貸し出しや閲覧のサービスを四月から無期限で休止したことが分かった。人員削減に伴う業務の縮小が大きな理由だが、二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに向けて両館の資料の活用を考えている自治体などもあり、大会の機運醸成に影を落としかねない。 (唐沢裕亮)

 「サービスを継続したい気持ちはやまやまだが、少ない人員で多くの貴重な資料を整理、仕分けするには限界がある。何とか理解してほしい」。両館を運営する日本スポーツ振興センター(JSC)の担当者は苦しい胸の内を明かす。

 両館は旧国立競技場の解体と新国立の建設に伴い、収蔵していた資料と図書は現在、足立区内の倉庫で保管。三島弥彦さんが日本人として初めて一九一二年ストックホルム五輪に出場した際の陸上用スパイクや、二八年のアムステルダム五輪の陸上三段跳びで織田幹雄さんが獲得した日本人初の金メダルなどを収蔵。他にも六四年の東京五輪で選手団が着用した赤のブレザーや国会図書館が所蔵していない戦前の雑誌などもある。

 これまで博物館では自治体や他の博物館への資料貸与や資料に関する問い合わせなどに対応し、図書館では蔵書の閲覧や複写などのサービスを提供しており、自治体関係者や研究者らが利用していた。しかし、JSCへの予算削減の影響で本年度から両館の人員が半減。両館では資料整理や仕分け作業に集中するため、事務作業に時間を要する貸し出しなどの他の業務を継続することができなくなった。

 四月以降も六四年の聖火ランナーや関連資料について外部から問い合わせなどがあったが応じていないという。担当者は「できるだけ早く資料整理などを終え、サービスを再開したい」と話すが、今のところめどは立っていない。本年度に五輪関連の展示を予定し、資料を借りることを検討していたある自治体の担当者は「貴重な資料も人目に触れてこそ意味がある。もったいない」と嘆いた。

 五輪研究が専門の首都大学東京の舛本直文特任教授は「文化的にも価値のある資料が『死蔵』されてしまうだけでなく、自治体が行う二〇年東京大会の文化プログラムなどにも影響するのではないか」と懸念した。

◆スポーツ庁幹部 ミュージアム構想「あきらめない」

 過去の五輪やスポーツ関連の資料などを展示する施設については、新国立競技場の建設計画で最初に採用されたザハ・ハディド氏の案には「五輪ミュージアム」を同競技場内に作る構想があり、観光資源としても活用する考えがあった。しかしザハ案は巨額な工費がかかると反発を受けて白紙撤回され、新たに採用された隈研吾氏の案にはミュージアム構想は入っていない。スポーツ庁の幹部は「それでも私たちはミュージアムをあきらめていない。どこかに作らなければいけないと考えている」と話した。

 

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