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【社会】

困った?「五輪」使えない 文化プログラム 苦肉のロゴ乱立

 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに関連して行われる文化プログラムのうち、目玉として期待される東京都の事業が「五輪」と銘打てない。「五輪」の名称は知的財産に当たり、多額の協賛金の見返りに名称などの使用権を得たスポンサーの権利を侵害する恐れがあるためだ。文化プログラムは五輪憲章で義務付けられているが、同様の理由で銘打てない事業は他にも多い。 (森本智之)

 「2020年の東京で世界を驚かせる」。「Tokyo Tokyo FESTIVAL企画公募」はジャンルを超えた芸術の創出を目指し、さまざまな企画案を一般から公募、その資金を都が負担する。文化予算としては異例の十五億円を投じるが、そのホームページに「五輪」の文字はない。国内外から二千四百三十六件の応募があり、七月には二十〜三十の当選案が決まる。

 東京五輪・パラリンピック組織委員会によると、五輪の名称は、国際オリンピック委員会の知的財産。組織委や国、開催都市など当事者のほか、約六十社のスポンサーでなければ使えない。スポンサーは、協賛金を負担する代わりに広告などで五輪の名称を使う権利を得ており、都は、スポンサー外の企業の案が採用されると、こうした権利を侵害する恐れがあると判断したという。

 一方、こうしたスポンサー保護などの事情から、文化プログラムのロゴマークが統一できないという問題も生じている。

 文化プログラムは組織委に申請し認証を受けると、五輪の公式エンブレムがあしらわれた専用ロゴマーク(表の(1))を使うことができる。ただ、このロゴマークが使えるのは組織委自身や国、開催都市やスポンサーなどが行う事業に限られる。

 これでは従来、各地のアートイベントや展覧会に出資してきたさまざまな企業や、各種の芸術団体など日本の文化活動を支えてきた団体の多くが対象から漏れてしまう。

 「五輪」の名称も使えない中、ロゴで少しでも統一感を出そうと、組織委が別にロゴ(表の(2))を用意。さらに国も別のロゴ(表の(3))を用意し、都も独自のロゴ(表の(4))を作った。結果的に乱立し、分かりにくくなっている。

 都文化振興部の伊東亜希子事業計画担当課長は「五輪の文言のあるなしや、ロゴの違いを超えて、全て五輪に向けたプログラムだと皆さんに分かってもらえるよう、国や組織委と連携を密にして広報に努めたい」と話している。

◆厳しい便乗防止 スポンサー保護を優先

 「どの事業にもはっきり五輪と銘打ち、統一されたロゴで行える方が国民に分かりやすいし、一体感も高まる」と政府関係者は本音では話す。五輪の文化プログラムなのに五輪と銘打てない矛盾は、巨額のスポンサー支援が欠かせなくなっている五輪の仕組みそのものにあるといえるだろう。

 「五輪」名称の無断使用などは、五輪の名を借りた「便乗商法」として規制される。昨年、兵庫県姫路市が大会を盛り上げようと独自にロゴを作ったが、組織委の指摘で名称などを削除した。使用要件を緩めれば、五輪のブランド価値が下がったり、スポンサー離れにつながる恐れもあるからだ。文化プログラムの最大の成功例といわれるロンドン大会では四年で四千三百万人が参加した。ロンドンでも名称の使用問題があったが、障害があるアーティストを支援する「アンリミテッド」などは大きな注目を集めた。

 東京五輪の文化プログラムは二〇一六年のリオデジャネイロ五輪後にスタートしているが、現状では話題になったプログラムは少なく認知度も高いといえない。組織委関係者は「名称の問題などで周知に影響している面はあるだろう」と認めた上で、「ロンドンのように皆さんの記憶に残るような充実したプログラムをつくることで課題を解消できれば」と話す。

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