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【社会】

LGBT差別禁止 首都圏に広がる 自治体、条例など明文化

 LGBTなど性的少数者への差別禁止や解消を条例で明文化する自治体が首都圏で増えている。今月、東京都国立市と世田谷区がそれぞれ条例を施行。専門家は「多様性と調和」を掲げる二年後の東京五輪が追い風になっているとみる。 (奥野斐)

 「性的指向(好きになる相手の性)などのカミングアウトをしない人の権利も守る条例にしました」。国立市の吉田徳史(のりふみ)・市長室長(38)は、条例のポイントを説明する。

 同市は「女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例」で、性的指向や性自認(自分の性への認識)による差別を禁じた上で、公表の自由が「個人の権利として保障される」と明記。加えて「本人の意に反して公にしてはならない」とした。罰則規定はない。

 第三者による暴露行為「アウティング」の禁止は、当事者の意見を受け入れた。市は条例に直接関係はないとするが、市内では二〇一五年、一橋大の男子大学院生が同性愛者であることを同級生に暴露された後に校舎から転落死。適切な対応を取らなかったとして、遺族が大学などを訴える訴訟も起きている。

 世田谷区の条例は「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」。条例が定める基本的施策にも、多様な性への理解促進や性的少数者の支援を盛り込んだ。

 すでに文京区と多摩市でも、一三年に性的指向や性自認による差別を禁じた条例が成立。「性的少数者への差別禁止」を定める渋谷区も含め、いずれも男女平等や共同参画の条例で、性的少数者に限らず、誰もが性別などにより差別的な取り扱いを受けないよう求めているのが特徴だ。

 条例ではないが、文京、豊島両区、千葉市は、窓口や学校での当事者対応の配慮点を書いた職員、教員向け対応指針をまとめている。

 都道府県レベルでも少しずつだが、動きが出ている。首都圏の九都県市は昨年十二月、「性的指向や性自認による偏見や差別のない社会をめざす」との共通メッセージを発表。都に今月、庁内調整の担当組織ができた。一方、国では、理解増進法制定を目指す与党と、差別解消法を掲げる野党で溝があり、法整備の見通しは立っていない。

◆国・都道府県が制度整備を

<棚村政行・早稲田大教授(家族法)の話> 五輪憲章では性的指向による差別禁止を掲げており、自治体で取り組みが進む背景には二年後の東京五輪の影響が大きいだろう。ただ、地域が限定され、象徴的な面は否めない。国や都道府県が法律や制度を整備し、多様な人の権利を保障していく姿勢を示すべきだ。

 

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