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【社会】

「平和の赤ちゃん。大事に育てて」 在日コリアン、喜びの声

南北首脳会談のニュースを笑顔で見る在日コリアンの金俊一さん(左)と母の李美子さん=27日午後、東京都小平市で

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 「北と南の間に生まれた平和の赤ちゃんだから、大事に大事に育てていかないと」。亡き父が今の北朝鮮出身の在日二世、金俊一(キムジュンイル)さん(56)=東京都小平市=は、南北首脳会談をそう喜んだ。母と営む焼き肉店の名は、父が故郷を思って名付けた「平和亭」。接客しつつ、テレビ中継を見守った。

 会談の舞台は、軍事境界線上にある板門店。金さんは父の「ちょっとしたことから戦争は起こる。心配だ」との言葉を思い出した。一九七六年、板門店でポプラの木を切り倒そうとした米兵が、北朝鮮兵に斧(おの)を奪われて殺害された。当時、父は自宅でニュースを見ながらつぶやいたという。

 分断を象徴するその場で、南北の首脳が手をつないだ。「戦争が起きれば、本国の人たちは大変な被害を受ける。この会談にうれし涙を流す彼らと私は同じ気持ちです」と金さん。

 父は植民地時代に日本へ渡った。鉄くず回収業で家庭を支え、三十一年前に六十一歳で亡くなった。父の兄二人は朝鮮戦争に出征したきり、消息不明になった。「戦争は悲惨だよ」と母で福岡生まれの在日二世、李美子(リミジャ)さん(81)はしんみり。それでも焼き肉店で会談のテレビ中継を見ては「うれしい」と何度も足を持ち上げ、両首脳が軍事境界線をまたぐのをまねた。

 南北や関係国の間に期待と不信感が同居するのは金さんも分かる。「北朝鮮が裏切ってきたと言われるが、やはり軍事的な対立が理由だ」と思う。会談後、朝鮮半島の非核化が宣言された。「いがみあっていても、こうして話し合えば…。米国や日本との関係もそうでは」 (辻渕智之)

 

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