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【社会】

アートは抗うために 渋谷で現代美術「理由なき反抗展」

展覧会「理由なき反抗」について話すワタリウム美術館の森亜希子さん=東京都渋谷区で

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 「アートの歴史とは、自由への闘いの歴史である」。こんなメッセージと共に、既存の慣習や体制などに抗(あらが)ってきた現代美術家15人の約100点を紹介する「理由なき反抗展」が、東京都渋谷区神宮前3の「ワタリウム美術館」で開かれている。背景には、政治や社会問題に対する自由な意思表明を抑えようとする、時代の雰囲気への危機感がある。 (森本智之)

 タイトルは、ジェームズ・ディーン主演の名画を基にした、米ポップアートの旗手アンディ・ウォーホルの作品から。展示を企画した同館の森亜希子さん(46)は「理由がなくても反抗できるなら、現代の私たちは理由があるのにどうして反抗しないのだろうと、この作品をきっかけに考えた」と話す。

 「2018年、蔓延(はびこ)る情報操作、得体(えたい)のしれない都合、無理ある理由付は、社会に不自由をもたらした」と、森さんは展覧会パンフレットで時代を分析した。同館のコレクションを中心に選んだのは、天安門事件を機に中国から亡命したホワン・ヨンピンさん、「誰もがアーティストであり社会はみんながつくる彫刻である」という「社会彫刻」を提唱したヨーゼフ・ボイス、路上が舞台のストリートアートを切り開いたキース・ヘリングら。

最先端のアートを紹介してきたワタリウムの和多利浩一代表

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 そうそうたる顔触れの中に、ヘイトスピーチへの強い怒りを表現した竹川宣彰さん(40)ら、現代の日本で活動する作家にも特別出品を依頼した。「みんな未来を見据え、アートを通じて社会と深く関わってきた。作品は私たちに自由への闘い方を教えてくれる」と森さんは言う。

 沖縄県うるま市でのアートイベントで昨年、米軍機の墜落を風刺した作品の公開が一時中止されるなど、公立美術館での展覧会や自治体主催の芸術イベントでは近年、政治をテーマにした作品について「政治的中立性」を理由に撤去を求められるケースがあり、展示しにくくなっている。

 私設の現代美術館として、最先端のアートを紹介してきたワタリウムの和多利(わたり)浩一代表(58)は、「音楽もアートも、僕は政治を持ち込むべきだと思っている。抗うために表現はあるのに、どうしてこんな世の中になったのか」と嘆き「展示を通じて美術館の役目を果たしたい」と言う。

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 出展者の竹川さんは「二項対立の状態から一歩引いて第三者的視点を示す作品が今の現代アートでは受けが良い。こうした状況を乗り越えたい」と作品に込めた思いを話した。

 「理由なき反抗展」は大人千円、小中学生五百円。七月二十九日まで。月曜休館(四月三十日、七月十六日は開館)。

 

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