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【社会】

SOS受け止めるよ かつて自殺願望の女性SNS相談員に

NPO法人「BONDプロジェクト」に送られてくる自殺願望者からのメッセージ=東京・渋谷で(一部画像処理)

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 「死にたい」「つらい」「助けて」−。無料通信アプリ「LINE(ライン)」で届く少女らのSOSに、かつて自殺願望のあった女性らが、メッセージを送り返している。少女らを支援するNPO法人の活動。生きづらさを分かち合い、画面の向こうの悩みに寄り添う。 (神田要一)

 「夜はしんどくなっちゃうよね。少し落ち着けるように、お話ししようね」

 三月下旬、平日午後八時。東京・渋谷のビルの一室を訪ねると、NPO法人「BOND(ボンド)プロジェクト」の相談員の女性らが四台のパソコンに向かっていた。

 かつて相談を寄せた女性らが、今は相談員を務めている。元保育士の「かりん」さん(29)も黙々とメッセージを返信していた。

 岡山県で育ったかりんさんは、二十代半ばまで自殺願望があった。両親と弟の四人家族で、一見普通の家。でも、父親は支配的で、気にするのは世間体ばかり。子育てを一人で背負う母親のストレスは、子どもへの過干渉となって現れた。弟は部屋に引きこもり、中学生になると母親に暴力をふるうようになった。

 「私、もう要らないんじゃないか」。高校一年のとき、心の中で何かが爆発した。親の望むような娘でいなければと気持ちを封印してきた。なぜ苦しいのか分からず、友だちにも言えない。ネット掲示板に「しんどい」と書き込んだ。

 カミソリで腕や太ももを傷つけるようになった。そんなとき、夜の繁華街で少女らに声を掛けるBONDの活動を知った。

 「誰かとつながっていると感じたかった」。橘ジュン代表(47)にメールを送り、東京に会いに行くようになった。気持ちを受け止めてくれる人がいることで、心が軽くなった。

 今の少女らが心を開ける場所は会員制交流サイト(SNS)。BONDは、かつて相談を寄せた女性らに協力を求め、三月から本格的にLINE相談を始めた。これまでに、かりんさんら十六人が相談員を務めた。緊急の対応が必要なときは、橘代表が直接会いに行き、話を聞いている。

 かりんさんは「苦しんでいる人の生きる光を一緒に見つけることが、自分自身の光を見つけていくことだと感じている」。相談は火、日曜を除く午後六時半〜十時半。ゴールデンウイーク期間中も受け付ける。アカウントは「10代20代の女の子専用LINE」。

◆座間事件からあす半年 GW中、犯罪被害の危険も 

 神奈川県座間市のアパートで昨年十月、九人の遺体が見つかった事件は三十日で発覚から半年。大型連休に入ったばかりだが、長期休暇中に若者らが犯罪に巻き込まれるケースもある。

 座間市の事件では、会員制交流サイト(SNS)に自殺願望などを書き込んだ女性らが、共感を装って近づいた男に誘い出されて犠牲になった。群馬県の高校一年の少女=当時(15)=は夏休み中の昨年八月下旬、SNSに自殺について書き込み、男と知り合ったとされる。

 十〜二十代の少女らの支援に取り組む「BONDプロジェクト」の橘代表は「普段は大人の前でいい子でいても、休みに入ると消えたいと思ってしまう子もいる。『誰か助けて』と思っているときに、甘い言葉をかけられると乗ってしまう」と話す。

 ツイッターなどに本音を吐き出す少女らを見つけるため、BONDはネットパトロールにも力を入れており、「死にたい」と投稿する子に相談窓口を紹介している。座間市の事件を教訓に、少女らの書き込みに素早く反応する。

 橘代表は「スマホ画面だけの関係から、リアルな関係につなげて、少女たちの居場所をつくりたい」と強調する。

 

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