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【社会】

AIが詠む五七五 「手花火をそめて淋しき娘かな」

AIが作った俳句が表示されたパソコンを前にする北海道大大学院の川村秀憲教授=札幌市で

写真

 北海道大大学院の川村秀憲教授(44)らが、写真を基に俳句を詠む人工知能(AI)「一茶(いっさ)くん」の開発を進めている。膨大な過去の作品を解析し、自ら学習するディープラーニング(深層学習)で、被写体や風景に合った俳句を作る仕組み。川村教授は「AIが人間の感情や価値観を理解することにつながる」と意義を語る。

 川村教授は、大学研究者やIT企業の開発者らがAIで産業振興を目指す団体「札幌AIラボ」のリーダーを務める。開発の構想は昨年、仲間内の会話の中から生まれた。

 小林一茶や正岡子規らの名作を取り込むとともに、研究に協力する市民がそれらの句に適すると判断した写真から、俳句にふさわしい表現や風景を学習。「や」「かな」といった切れ字や季語が適切に使われているか判定するシステムもある。

 こうした機能を組み合わせ、花火の写真を認識すると「手花火をそめて淋しき娘かな」といった俳句を生み出すことができるようになった。

 ただ開発は始まったばかりで課題も多い。AIが詠む作品のうち、日本語として成立するのは5%ほどで「めいたまに花火を交る稲の花」など、意味がよく分からないものも。

 また、主に著作権の切れた古い作品で学習しているため、言葉遣いやスタイルが時代遅れなものになりがちという。

 AIがトップ棋士を破ったことで話題になった将棋や囲碁の「最善の一手」と異なり、「何が良い俳句か」に絶対の正解はない。良しあしの基準をAIにどう学ばせるかは模索中だ。それでも、専門家が高く評価する作品が生まれたケースもあり、川村教授は手応えを感じている。

 医療などさまざまな分野でAIが著しく進歩する中、データから導かれたAIの判断を人間が受け入れられるかどうかも重要と考える川村教授。「五七五で心情を切り取った作品を詠み、出来栄えを句会で議論する俳句には、AIが解決すべきテーマが詰まっている」と話す。

 ゆくゆくはAIが句会での論評に参加し、作品の良さを説明できるようにするのが目標。「人間と対話し、納得してもらえるようになれば、AIが人の心を理解したと言えるのではないか」と意気込んでいる。

 

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