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【社会】

強制不妊、夫も国提訴へ 本人以外で初「家族の権利侵害」

 旧優生保護法(一九四八〜九六年)下で不妊手術が繰り返された問題で、手術を受けて提訴を予定している北海道の七十代女性に加え、その夫も国に損害賠償を求めて原告に加わる方針であることが、関係者への取材で分かった。「家族として子どもを産み育てる権利が侵害された」として、十七日にも札幌地裁に提訴する予定。手術を受けた本人以外に家族が原告となれば全国初。十七日に提訴するのは宮城県や東京都などの男女も含め、計五人になる見通し。

 関係者によると、女性は知的障害を理由に、人工妊娠中絶手術をした上で、不妊手術を受けさせられた。女性は同意書を書いた記憶がないとしており、夫は親族の説得を受けて同意書を書いたと話しているという。女性側は道に記録などの資料を開示請求したが存在しないとの回答だった。

 旧法では、医師が都道府県の優生保護審査会へ申請し、「適」とされれば本人同意のない強制手術を容認、「非遺伝性」とされた精神疾患などは、保護者の同意を義務付けていた。

 訴訟では、旧法は幸福追求権などを保障する憲法に違反するとした上で、国が立法による救済措置を怠ったことなども主張する見通し。十一日に北海道の弁護士らが会議を開き、夫が原告に加わることも含めて最終決定する。

 愛知県立大の橋本明教授(精神医療史)は「旧法下の不妊手術は、夫婦やカップル、家族の権利を侵害する問題でもある。本人が亡くなっている、または障害が重いなどの事情がある場合も、裁判では家族の存在が重要になってくる。今回女性の夫が原告に加わることで、今後の訴訟に広がりが出るのではないか」と指摘する。

 旧法を巡っては、今年一月、宮城県の六十代女性が全国で初めて国に損害賠償を求め、仙台地裁に提訴。四月に仙台市で開かれた十五都道府県の弁護士の会議で、北海道、宮城県、東京都の男女計四人が新たに訴えを起こすことが報告されていた。

 

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