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【社会】

鈴の音頼りにワンツー ブラインドボクシング初の全国大会

ブラインドボクシングの練習で、アイマスクを着けた蟹江香代さん(左)が佐野雅人さんにパンチを放つ=名古屋市西区で

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 8年前に誕生した障害者スポーツ「ブラインドボクシング」の初の全国大会が13日、名古屋市西区の名古屋大橋ボクシングジムで開かれる。考案したブラインドボクシング協会会長の佐野雅人さん(64)=同市=は「将来は世界中に普及させ、パラリンピックの種目にしたい」と目標を語る。 (小沢慧一)

 アイマスクを着けた視覚障害者の選手が、素早くパンチを繰り出す。相手は「選手」ではなく、首から鈴を下げた健常者のトレーナー。レフェリーが「一番!」とコールすると、トレーナーが左ストレート、右ストレートのコンビネーションパンチを放ち、選手は両腕で正確にガード。鈴の音と気配が頼りだ。

 コールはパンチの種類が異なる二番と三番もあるが、いずれも安全のため、トレーナーが直接、選手を打撃することはない。

 全国大会では選手一人が一ラウンド(二分間)を戦い、審査員が攻撃、防御、闘争心の三項目を採点して勝敗を決める。他の選手の様子が分かるよう、アナウンサーの実況中継も。約二十人の参加者の一人、蟹江香代さん(42)=同市=は「リングでは無我夢中に体を動かせて壮快です」と白い歯をのぞかせる。

 この競技が誕生したきっかけは二〇一〇年、佐野さんがコミュニケーション能力を高める会社の研修の一環で、真っ暗な部屋で積み木を積むゲームに参加した際、誘導係の視覚障害者と知り合ったこと。暗闇の中で目以外の感覚が鋭敏に研ぎ澄まされる彼らの能力に驚いた。

 視覚障害者と親しくなるうち、多くの人が病気や事故によって人生の途中で視力を失うことを知った。「いつか自分や家族にも起こり得る」。目が不自由でも人生を楽しむ方法が必要だと痛感し、自分が趣味で続けていたボクシングを改良。一一年からは障害者団体と協力し、体験会を開くなど普及に努めてきた。

 「闘争本能」を呼び起こすのか、普段はおとなしい人でも歯をむき出して向かってくる。瞬く間に評判となり、関東、関西でも定期的に体験会を実施。これまでに全国で二百人ほどが参加した。

 二〇年には東京五輪会場の近くで公開試合の開催を計画している。佐野さんは「視覚障害者には何でも介助が必要だと思われがちだが、一人でもここまでできるということを知ってほしい」と話している。

 大会の問い合わせは、佐野さん=電080(5155)9521=へ。

 

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