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【社会】

ローン1億4000万円 「かぼちゃの馬車」オーナー、多くは会社員

シェアハウス運営会社が破綻し、自力で内装を整えるシェアハウスのオーナー=東京都板橋区で

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 女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」のオーナーになれば、家賃収入を三十年間保証する。そんなうたい文句で事業を拡大した運営会社「スマートデイズ」(東京)が四月に経営破綻した。シェアハウスを建てたオーナーの多くは会社員。融資基準となる給与所得や預金残高が勝手に水増しされていた。一億円を超えるローンの返済の見通しが立たず、途方に暮れる人が相次ぐ。 (福岡範行)

 「かなり厳しいです」。四月に完成したばかりの東京都板橋区のシェアハウスで、男性会社員(49)は、ため息をついた。ローンは土地建物代の計一億四千万円で、返済額は月六十七万円。他に自宅のローン返済も月約二十万円ある。給与の手取りは約五十万円。このままだと家計が破綻する。

 シェアハウスは全十五室。スマートデイズが一括管理し、入居者の有無にかかわらず、男性に月八十八万円の家賃保証する約束だった。しかし、同社は建物完成前に破綻。結局、男性は一円も受け取っていない。

 かぼちゃの馬車を知ったのは、昨年二月。不動産業者からの売り込みで、最初は怪しいと感じた。だが、人気タレントが登場するテレビCMで警戒感は薄れ、入居する女性にスマート社が就職を仲介する取り組みに共感した。

 この不動産業者は「銀行がビジネスモデルを評価している」とPR。スルガ銀行(静岡県沼津市)への融資申請を勧めた。男性が自宅のローンを組んだのも同行で「銀行を信頼していた」。断られると予想していたが、仮審査はすぐに通り、シェアハウス建築を決めた。昨年七月に着工。しかし、基礎工事中の十月、不動産業者から「家賃保証が止まる」と電話が来た。

男性が融資の審査に提出した銀行口座の明細書。スルガ銀行が保管する資料(上)は預金残高が水増しされていた=一部画像処理

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 「空き室があっても支払われるはずだったのに」。弁護士に相談すると、不動産業者を通じてスルガ銀行の融資審査に提出した預金残高の資料の写しは、本来七十万円なのに、二千二百二十万円に書き換えられていたと分かった。

 男性は、妻に経済的負担を掛けないよう離婚も考えた。ローン返済のため、小学五年の長男に学習塾をやめてもらった。苦境を打開しようと、今は自力でのシェアハウス開業を目指し、ベッドマットや電子レンジを買いそろえ、部屋に備え付けている。

 入居者を募っているが、仮に満室になっても返済額には届かない。これまで問い合わせは一件のみで、まだ入居者はいない。

 スルガ銀行は金融庁の立ち入り検査中。内部調査で、複数の行員が審査書類の改ざんを知りながら融資した疑いが浮上している。

 男性は「詐欺ではないのか。行員が改ざんを知っていたとすれば、許せない」と怒りをにじませた。

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