東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

iPS心臓病治療を承認 世界初 阪大、心筋移植の臨床研究へ

写真

 厚生労働省の再生医療評価部会は十六日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った「心筋シート」を重症心不全患者の心臓に移植する大阪大の臨床研究を条件付きで承認した。研究チームの澤芳樹大阪大教授は「重要な通過点を越え、いよいよスタート地点に立った。本年度中に移植の一例目を行いたい」と述べた。

 iPS細胞を使った再生医療は既に重い目の病気の患者に対して行われているが、今回は日本人の死因第二位で、患者数も多い心臓病に対する世界初の治療となる。iPS細胞の可能性と利用の広がりを実証する研究として注目される。

 計画は、血管が詰まって心臓の筋肉に血液が届きにくくなる虚血性心筋症が原因で重症心不全となった患者三人が対象。京都大が備蓄している拒絶反応が起きにくいiPS細胞から心筋細胞シート(直径数センチ、厚さ約〇・一ミリ)を作製し、患者の心臓に貼り付ける。移植した心筋細胞が分泌するタンパク質が心臓の働きを促すと期待される。臨床研究では、心機能が改善するかどうかや安全性を確かめる。

 チームはこれまで、患者自身の太ももの筋肉細胞から作製した細胞シートを開発しているが、種類が異なる筋肉のため、重症患者では効果が見込めなかった。

 評価部会は、iPS細胞を患者自身のものではなく、備蓄した細胞から作る理由を患者への説明文書に分かりやすく記載することを条件に承認した。心不全は、息切れやむくみが起き、心臓のポンプ機能が少しずつ悪化する病気。推計患者数は百万人以上で、高齢者を中心に増加傾向にある。

<人工多能性幹細胞(iPS細胞)の臨床研究> 体のさまざまな細胞に変化する能力を持つiPS細胞は、病気やけがで失われた体の働きを補う再生医療への応用が期待されている。これまでに理化学研究所などのチームが、重い目の病気の患者に網膜細胞を移植する臨床研究を実施した。このほか国内では、神経の元になる細胞を作ってパーキンソン病や脊髄損傷の患者に移植する計画も進められている。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報