東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 5月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

簡宿、アートで再生 川崎 11人死亡火災から3年

川崎市川崎区にオープンしたゲストハウス「日進月歩」と支配人の吉崎弘記さん=12日

写真

 川崎市川崎区日進町で簡易宿泊所(簡宿)を改装し、アートで彩ったゲストハウス「日進月歩」が今年一月にオープンした。この地域で二〇一五年五月に起きた十一人死亡の簡宿火災から十七日で三年。利用者の減少で廃業する業者も増えており、支配人の吉崎弘記(ひろき)さん(43)は「地域再生の一助になれば」と意気込んでいる。

 JR川崎駅から徒歩約十五分で、古くから簡宿が立ち並ぶ地域にある「日進月歩」に着く。地域活性化に取り組んでいた川崎市高津区の不動産建設会社「NENGO」は火災後、簡宿一軒を買収。市内外の芸術家が全十四室のうち五室のデザインを担当し、壁にネオン街や花札を描いた部屋もある。コンセプトは「川崎らしさ」だ。

 ターゲットは国内外の旅行客。一室は二〜三畳と広くなく、シャワーや洗面所は共用だが、宿泊客の三分の一は女性だ。四月の稼働率は約85%に上る。観光業に従事した経験がある吉崎さんは「羽田空港に近く、下町っぽさも残っており、需要はある」と手応えを語る。

 地域はかつて日雇い労働者の生活拠点で、近年は行き場のない高齢生活保護受給者の受け皿になっていた。川崎市が火災後に転居支援を進めた結果、火災当時は四十九軒に千三百四十九人が暮らしていたが、今年三月末時点で五百六十二人に減少。その影響もあり十四軒が廃業した。

 他にも高齢の簡宿経営者から施設運営を諦める声が出ており、吉崎さんはそうした経営者に運営を任せてくれるよう提案している。女性専用のゲストハウスなどを想定しているといい、「宿場町としての町並みを残しつつ、若者やビジネス客を呼び込めるような新たなモデルを確立していきたい」と話した。

 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報